「@ケアマネ職人」の話も今日が最後です。

職人ではない私がえらそうに職人のことをしゃべっても、全く説得力が欠けるので、河内國平さんがしゃべったものをそのままお伝えします。

これは以前に紹介した写真集に掲載されていた対談で、お相手は陶芸家の樂吉左右衛門さんという人です。


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河内 職人は練習すればうまくなる。字だって、例えば、画家の中川一政さんの字は面白いけど、あの人は不思議にうまくならない.ずっとあれで通している。ぼくは字が好きだから自分でも書くねん。やっぱり一年前よりもうまくなってくる。努力しなくても、自然に筆の持ち方も変わってくるし、慣れが入る。



樂 それは焼き物でもいっしょ。上手になる。



河内 いっしょやね。上手になって前は1時間かかったのが30分でできるようになる。ところが、上手になったら困る部分がある。



樂 そうやな(笑)、そのとおりやな。



河内 ところが、中川一政さんはずっとあの字を書いてはる。曲がったような、歪んだような、始めの字はでっかいのに次の字は小っそうに書いてみたり、小学生みたいな字やねん。あれも大したものやといつでも思う。



樂 そうやね。上手になると完成度も上がるし、バランスもよくなるし、見た目もよくなる。ところが、何か大事なものが消えていく。



河内 そうやねん。上手になったらあんまり面白くない。



樂 その大事なものはいったいなにかということを、中川さんはわかってるんやろうね。そこは微妙に自分をコントロールしているんだと思う。

上手になるということは、何かが消えていくことやしね。その消えていくものが大切な何かで、どれだけかけがえがないものかということを中川先生は知っているから、うまく自分の中でコントロールして、それ以上追いかけない。うまさを追いかけないし、どこかで引いている。それでもやっぱりいいものとよくないものがあると思うよ。先生自身そんなことは知っておられた。



河内 やっぱり葛藤していたのかな。



樂 それは一字一字ものすごくしてはった。



河内 あの人の文章を読んだらそうだものな。ぼくは、中川先生の全集、10巻ぐらいあるのを全部読んだ。



樂 そう、すごいね(笑)



河内 あれを読んでいて、よく電車を乗り過ごしたりしたものや。


      (『刀匠 河内國平という生き方』里文出版)


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私がこの対談で解釈したのは、平易に言うと「初心忘れるべからず」ということかな、と思いました。


人はうまくなろうと思って仕事をしている。誰でも継続してやっていけばうまくなれる。ところが、職人を目指す者、単にうまくなるというだけではダメなんだ、と。うまくなることで失うことがある。


「すごいなあ、この領域まで自分を高めることができるのだろうか…」と思ってしまいました。


この対談では答えはなかったですが、単なる技術者とは違うマインドが職人の中にはあるのだなあ、と想像します。


心かな、魂かな、熱意かな。うまくなりたいと思う気持ちかな。


それは何だろう。





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中川一政氏の作品です。


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軽く”職人”を名乗っちゃいけません^^;

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