ある利用者さんのサービス担当者会議がありました。


要介護1の鮫島さん(77歳・女性)と息子さん、デイサービスの責任者、4名で話し合いました。


介護保険を使って4年になる鮫島さん、とてもお元気なのでデイサービス卒業されてもいい方なんですが、介護認定が出ているので利用させてください、と話されます。

新興住宅地にお住まいなので近所に同世代の方がいらっしゃらず、デイサービスがお出かけの場所になっています。


ところで、鮫島さんのもっぱらの心配は、お腹にある動脈瘤を手術するかどうか。

動脈瘤とは、動脈硬化などが原因で血管の一部分が膨らんでしまう状態のこと。自覚症状はありませんが、破裂したら死んでしまうこともある心配な病気です。


鮫島さんの動脈瘤、大きさは4センチ。手術するか、このまま様子を見るか、お医者さんも判断が難しい状態です。


この動脈瘤の手術の話、実は3ヶ月前から鮫島さんから聞いていて、はじめは「歳も歳だし、恐いから手術は受けたくない。」と言っていたのが、息子さんや友達らの説得を受けて、「手術しよう」と、いったんは決意したんです。


でも、手術を控えた2週間前に「田中さん、手術はやっぱり止めました。」と話されました。その理由を聞くと、娘が嫁に行っている親戚に不幸があり、娘さんが看病に帰って来られないから、だとか。


まあ、手術も100%成功する保証はないし、破裂しないまま一生を終えることもあるから、手術するかしないか、というのは本人の意思なんですが…。


病院の先生もそう思っているから、手術を強く勧めることはないんでしょうね。






会議のときも、その話になりました。





「やっぱり手術はしないんですか?」と何げなく聞くと、

「娘の家がそうなったのも、もしかしたら虫の知らせかもしれないし…。家族も「手術が心配だから…」って、言うから、踏ん切りがつかなくなりました。」笑う、鮫島さん。




「家族が心配するから…?」


あれ?息子さんは手術を勧めていたのになあ…。






「あっ!」

帰りながら、こんなやりとりを思い出しました。



いつだったかの定期受診のとき、お嫁さんが付き添いだったときのことです。手術の説明を受けておられたときに「私、手術のことは聞いていません。」とお嫁さんが話されていたことを。

息子夫婦は仕事で遅くなることが多く、そんな日は鮫島さんが孫達の面倒をみているのです。

鮫島さんが入院することなると、孫の面倒をみてもらえなくなるのを嫌がって、お嫁さんが言ったのかな。


確かめてはいませんが、多分きっとそうなんでしょう。

鮫島さんも手術しない言い訳が出来たし、そっとしとくか…。




こんなとき、あなたならどうしますか?

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