「2015年の高齢者介護」は、高齢者が急増する2015年に備えてどんな課題があり、どういう方向性を見出せばよいか、ということが書かれたものです。
それを基に、平成18年(2006)介護保険の制度改正が行われました。
この改正の根底にある非常に大事な問題は「高齢者が激増し、制度が継続できるだろうか」というものです。介護保険が潰れやしないだろうか、という心配です。
しかし、簡単に潰されては困ります。介護難民が溢れてしまいます。「継続できるだろうか」ではなく「継続するためにはどうしたらいいだろうか」ということです。
そのために最も重視されたのが「介護予防」です。「介護が必要にならずに、いつまでも元気でいてくれ」ということです。「介護保険を使わないでくれ」ではありませんよ。
介護保険が始まってから3年間で被保険者は10%ほど増えただけなのに、要介護認定者は60%近くも増えました。なかでも「要支援」「要介護1」程度の軽い方が急増しており、それらの方は少しずつ重度化していきます。
介護保険はもともと、「要介護にならないために、予防にもお金(給付)を出しましょう」というものだったのですが、要介護化への歯止めになっていませんでした。そこで、「予防重視型」を強調していこう、となるわけです。
2つめの狙いは「地域」です。住み慣れた地域に住み続けられるよう、地域で支える介護を目指したい、というものです。「介護予防」と「地域」、この2つが平成18年(2006)制度改正のキモです。
この2つ以外にも「施設給付の見直し」、「サービスの質の確保と向上」も盛り込まれました。
介護保険は「在宅」を重視してスタートしたのですが、ふたを開けてみると施設希望者が膨れあがりました。これは在宅サービスが十分でないことと併せて、家賃相当分の居住費や食費も介護給付費、つまり保険給付をしていました。
在宅生活している人は居住費や食費を保険から出してもらっていませんよね。それでは不公平、ということで、この改正によって、居住費、食費は利用する人が実費負担するようになりました。
これを「施設給付費の見直し」といいます。ちなみにこれは平成18年の制度改正を前倒しして平成17年10月から始まりました。
もうひとつの「サービスの質の確保と向上」については、年1回行われる「介護サービス情報の公表」、書類のあるなしを見られるもの、そしてケアマネジャーは資格が5年ごとに更新の研修を受けるなどが義務づけられました。こうして、サービスの質が向上しましたね(ホントですか?)
「介護予防」「地域」のポイントは次回にお話しします。
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