(これは「日本ホスピス・在宅ケア研究会 」のセミナーに参加したときの感想です。)
今回は、臨床哲学を専門にされているという鷲田清一先生の「受け身の作法」というの講演を書いてみます。臨床哲学というと、なにやら頭を抱えそうな難しいテーマですね。こういうのにあまり興味がない人は「人気ブログランキング
」を押して、スルーのほうを(笑い)
それでは、先生は「受け身の作法」として2つ上げられました。“聴くこと”“待つこと”。そのうち、今日は“聴くこと”を。
いのちの電話というものがありますよね。これは、「死ぬか、生きるか…」みたいなところで、ものすごく悩んでいる人の電話相談、だと思うんですが、そのいのちの電話で受け手の側は、もうそれは本当に「聴くだけ」だそうです。
私は、実際にかけたことがないので実際にそうなのかどうかは分かりませんが、鷲田先生によると、そうらしいです。
そして、受け手として仕事をしている人には談話室が用意されていて、仕事が終わるとみんながそこに行って30分ばかり“どわ~っ”と話し込むらしいです。それは、聴くことはとても大変なことだから。
内容も重たいでしょうし、それをただひたすら聴くことは後に引きずるほど、なんでしょう。それだけ聴くことは辛いことなんだそうです。
でも話すほうにとってみたら、心の中でもやもやするものが吐き出されたり、頭の中が整理できたりするので、とても良いことなんだそうです。
このことは私たちもよく経験しますよね。ご近所どおしの井戸端会議やPTAの会とかでね。女性なんかは特におしゃべりが止まらないことが多いですよね。
幼い頃、母親が近所の人とスーパーで出会って、その場で5分、10分と話し続けるのがイヤでイヤでしょうがなかったことを思い出します。ほっといたら、1時間でもしゃべっているんじゃないでしょうか?
まあ、そのように話すことは大切なことだそうですが、それを本気で聴こうと思えば、それはそれは忍耐のいることなんだそうです。
で、聴くことの作法として、①話を誘導してしまうこと、これは×だそうです。
話し手は、自分の考えていることを先回りしてくれると話が弾む感じがしますよね。でも、話し終わった後で話足りないとか、ということがあるようです。
さっきのように話すことで自分の頭を整理する、という効果があるとすると、それを他人にやってもらうと自分の頭を整理することにならない、ということでしょうか?
そして、もうひとつ大切なことは②聴ききる、ということです。相手が話し終わるまで聴ききることで話し手は頭の中を整理すると同時に対象化することができる、と。自分を客観視できる、ということですね。冷静になれる、ということでしょうか?
私も仕事で利用者さんの家族の愚痴を聞くということをしています。愚痴を聞いて上げると、始めはこの世の終わりのように顔をゆがめてマシンガンのように言葉がこぼれて、グチの本文から外れてとんでもないところに行ってしまうようなこともよくあるのですが、
最後のほうにはちょっと笑みがこぼれるくらいになることがありますね。聴いているほうはグッタリなんですが(笑)、あれは実は有効なんですね。
こういうことが”聴ききる”ということなんでしょう。
あと、鷲田先生は話を引き出す方法を紹介してくださいました。ことあるごとに「ほお~~」と言う(笑)。
相づちですね。
皆さんは、”聴ききる”ことは得意ですか?
そうでない人は、ぜひ”聴ききって”くださいね^^v
“待つこと”は次回に^^