「日本の介護を日本化する」、思いつくものは
ひととおり書いたので、今日でいったん最後にします。
最後のテーマは「地域」です。
今日も、さらに推測で物を話します。
というのも、欧米では「地域」というものがどうなっているか、
全く知らないからです。(自分の勉強不足を開き直ってしまいました(;^_^A)
日本では、「地域」というものが、その地域の一構成員に対して
果たす役割というのは、いろいろな場面で見られるように思います。
もしかして田舎だけの現象かも知れませんので、
違う実態がありましたら教えてください。
どのことを言っているのか、というと、いわゆる町内会、というものです。
うちの地域ではどんなことをしているのか、というと、
地区内の溝掃除、とか、ゴミ収集所の掃除当番とか、
お祭りの運営とか、葬式の手伝いとか、消防団の組織とか、
地区の運動会とか、まだまだいろいろなことがあります。
このような報酬を伴わない活動を私たちは、
ごく自然に行っているんじゃないでしょうか?
学校単位でも様々なことをしていますよ。
PTA活動でいろいろな行事があります。
老人クラブとか、公民館活動などもそうでしょうかね?
自分の家の人間だけでは解決できない問題、
だからと言って国や自治体がやってくれるわけでもない、
そういうものを自発的に行っている事例は
あちらこちらでみられるんじゃないでしょうか?
これは日本の特長だと思うんですが、欧米ではどうでしょうね?
(よく知らないので、ご存じの方、教えてください。)。
何でそうなったのか、ということを考えますと、
日本は古くから稲作が盛んでした。
稲作で高い生産性を上げるには、稲作に必要な水を安定的に供給する
灌漑施設などの設備が必要で、
それらを整備するためにはその土地の人たちが協働して
作っていった歴史があるそうです。
そして生活に必要な道路を造ったりする事もあったようですね。
勘の良い方はピンと来ませんか?
これらのことは、現在では国が公共事業という形で行っているんですね。
私が思うに、日本はその昔、地域の共同体のようなものが
自然発生的に出来上がっていた歴史があるのではないだろうか、と。
一方、古くから国・国家という概念が整っているところ、
つまり、主に欧米では自分の家ではできないことを国が中心になって行っており、
そうではないところは地域という集団で相互の助け合い
という形をとったのではないか、ということなんです。
実際に相互扶助という形は、アジアやアフリカなどで
よく見られる形だそうなんです。
それは国という概念が欧米より遅かったからかな、って思いました。
そして未だに国という形があいまいで、社会保障が整っていないところは、
根強く相互扶助という形がとられているのではないか、
と思うんですが、いかが?
ただし、国という概念がきちっとしているところ=先進国、
きちっとしていないところ=発展途上国、とすると、
いかにも先進国が先を進んでいる、という風に思われていますが、
日本に限らず、国が行う社会保障の政策に行き詰まり、
先の見えない不透明な状態になっているところが多いですよね。
文化人類学者のレビー・ストロースは
「発展途上国は遅れているのではない、その地域の文明なのだ。」
と言っています。
これを福祉に当てはめると、助け合いの方法論・文化が違うだけ、
ということなんでしょうね。
あ、ゴメン、ちょっと知ったかぶりが出てしまいました(;^_^A
よく「地域に開かれた…」とか、「地域に根ざした…」とか言いますが、
もしかして、それを国が声高に言っている間は、
地域なんてそっぽを向いてしまう、というか
無関心で終わってしまうんじゃないか、と思いました。
「国がやってくれるから」「国の責任」とか言って。
もしかして国の財政が破綻して頼ることができなくなり、
自分たちで何とかしないといけない、と必要に迫られた時に
初めて相互扶助が復活するのではないか、と思います。
そして、それは決して福祉の後退ではなく、
アジア・アフリカ型に回帰した福祉なのだと。
さて、結論なんですが、
現在の日本は、欧米型の「国が面倒を見る社会保障」が行き詰まりそうで
大騒ぎしているし、「もう国には面倒をみてもらわなくてもいいや、
自分たちでやろう。」と、潔く国の用意する社会保障と決別しましょうよ。
…なんて、言いたいところなんですが。
でも、これだけ資本主義経済・社会が発展し、
人口集中-過疎が進んだ日本で、
全国どこでも助け合いの共同体ができるのか?、といえば否、ですね。
限界集落の問題をみても、すでに地域という単位で地域福祉が
成り立たない場所が増えています。
助け合いの精神が現代の日本人にも残っているかどうか、
ということも気がかりですね。
ただ、未だに町内会活動などが行われているのを見ると、
それを軸に「国家による社会保障」と「町内会」とで、
つまり欧米型福祉とアジア型福祉との融合がもっと考えられないかな、
と思ったのでありました。
こういうところなんですよね。
このシリーズを始めたときに
「日本は外国文化を取り入れながら日本化させるのが得意だ」といったのは。
だけど、こと福祉に関しては欧米の施策にべったりな感じですね。
また、なかなか良いアイディアが出てこないところをみると、
現代の日本人は、昔の日本人には勝てないなあ、明らかに負けてるよなあ、
と思うのでありました。
「日本の介護を日本化する」。
これにて、いったん終了。