(前回はこちら 。)
特に意味はありません)
私たちが部屋に入ると、主の小杉さん(仮名)が
ベッドからのっそり起き上がりました。
「あの~、小杉さん…。」
「なに?」
「てすりのことを頼まれてきましたよ。」
私は、サイコーのスマイルをして近寄り、
まずは抵抗の少ない手すりのことを話し始めました。
「うん、ここにあればええなあ。」。
ベッドに腰かけて、手振りをして手すりがついたことをイメージしながら、
うなずく小杉さん。
“よしよし、この調子なら…。”次の一手。
いよいよ本丸の回転イスの撤去を…。
「いけんわいっ、いけん、いけん。
そのイスじゃないといけんだがな!」ヾ(。`Д´。)ノ
一気に目つきが変わりました。豹変です。
「小杉さん、このイス、回転するでしょ。危ないから…。」
「いやいや、回るところをこう…。何かで留めて…。」小杉さんも
“こうすれば絶対に今のイスが使える”ビジョンを展開しました。
回転する軸を何かで止めれば問題なくそのイスが使える、というのです。
きっと私たちが来る前から、何度も家族とこんなやりとりを
行っていたのでしょう。
小杉さんも言葉に詰まることなく、反論を述べました。
…う~ん、困ってしまった…。
途方に暮れる、ハハ、ハ…(^▽^;)業者さんと私σ(^_^;)ポリポリ
「だけな、何かで留めたら座れるけ。ちょっとやってみてや。」。
小杉さんの信念は決して揺らぐことはありません。
「う~ん、分かりました。なら、ちょっと見てみますわ。」。
次の一手に行き詰まった私は、イスを持って部屋を出て、
狭い廊下のちょっと広くなったところでふたたび3人で作戦会議です。
「いくら留めても、ぐらつきは出てしまうでしょうね。」と、
その修理が困難だという業者さん。
う~ん、それを本人に言って欲しい。
しかし、若かりし頃、過酷な陸地戦を生き抜いてきた元兵士の
小杉さんに対峙して正論を述べることはとてもとても困難なことなのです。
小杉さんから見て、よほど気の置けない存在でなければ…。
…さて、どうする、どうなる、川口浩探検隊。
(続く 。)