「できそこないの男たち」シリーズで書こうと思ったのですが、
少し余談ぽくなっちゃうので、別立てしました。
唐突ですが、
人間の心の場所って、
どこにあるんでしょうか?
多くの人は「頭」とか「脳」とか言うんでしょうね。
一昔前は「心臓」とか「胸」にあるなんて思われていた
こともあるみたいです。
この本では、こう書いてありました。
受精卵が細胞分裂して、球状になった後、
消化管を作り始める、ということを書きました。
これはどんな生物も一緒だそうです。
そして以下、
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意外なことに、脳がないとはいえ、ミミズは、
あるときは葉っぱのどちら側をくわえれば
巣穴に運び込むのに都合がいいか、
迷いつつ”考え”さえしているのである。
これらの生命活動は、消化管に沿って分布する
神経ネットワークによってコントロールされている。
優れた「脳」、つまり中枢神経系を持った
私たちにも、消化管に沿って緻密な
末梢神経系が存在している。
そして脳で情報伝達に関わっている神経ペプチド
と呼ばれるホルモンは、ほとんど同じものが
消化管の神経細胞でも使われていることが判明している。
(中略)
私たちは、もっぱら自分の思惟(しい)は脳にあり、
脳がすべてをコントロールし、脳はあらゆるリアルな感覚と
バーチャルな幻想を作り出しているように思っているけれど、
それは実証されたものではない。
(『できそこないの男たち』福岡伸一 光文社新書)
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これを読んで、最近読んだ別な本を
思い出したんです。それは以下、
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有田 実は、脳内物質であるセロトニン一つを取っても、
セロトニンがある場所は、脳にもあるんですが、
いちばんあるのは腸管なんです。
(中略)
ちょっと話がずれてしまうかもしれませんが、
心の病というと、うつ病とか統合失調症など
いろいろありますが、それらはやはり脳の中の物質で
ある程度説明できる。たとえばドーパミンやセロトニンや
ノルアドレナリンなどが関係するというように。
(中略)
玄侑 ただ、脳って直接働きかけにくいですよね。
たとえばドーパミンが出すぎているとか、セロトニンが
足りないとかいう時に、脳をどうこうするするのではなく、
結局は体のほうにアプローチをすることでそれを
促していくというように連動しているわけですよね。
有田 そうなんです。結局は、内臓も含めて、筋肉も含めて
全部がつながっているんですよ。だから体全体を一つとして
考えるのが当然なんです。
(『脳の力 禅のこころ』玄侑宗久 有田秀穂 大和書房)
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少し分かりにくいと思うので、私なりの解釈を少し加えると、
「考える作業」は脳で行っているものだ、と
当然のように思っているけれども、それははっきりしていない。
有田先生は大部分は脳ということでよい、としているが、
脳以外の部分も含めた体全体として、心というものを考えた
ほうが良いかもしれない、といっています。
どう思いますか?この考えに対して。
例えば、「認知症になっても感情は残る」とか、よく言われますが、
そのことも、脳だけに感情や心があるわけではないから、とすれば、
納得できるような気もしますね。
また、体の不調の時は、それが原因でふさぎ込んでしまうことが
ありますよね。それはこういうことで説明できるような気がします。
脳には何の問題もないのに不調と感じる、ということは
そういうことですもんね。
よく「意欲を引き出すケア」とか「精神面のケア」と言いますが、
あれもやはり、ご本人の体が健康でなければ成立しない、と思うんですよね。
皆さんはどう考えますか?
あっさり書こうと思ったけど、
力説しちゃった(汗