昔、誇りにしていたことに触れると、
人は生き生きするのだ、と思った1日でした。
新規で私が担当することになった大熊さん(仮名)。
80歳の温厚そうなおじいさんです。
玄関の段差が大きくて出られないので、
自分の部屋から出られるようになだらかな階段を作りたい、
ということで、現場に立ち会いました。
サービスを受け始めて1ヶ月経ちますが、
あまり自分のことはおっしゃらない大熊さん。
頑固な職人気質な感じの人です。
息子さんと工務店さんと私とで工事の話をしているときも、
少し離れたところで話を聞いているのか、聞いていないのか…。
だいたいのことが決まったところで、
大熊さんの家の庭を眺めると、
庭の隅にそびえている岩に目が止まりました。
高さ1.7メートルセンチ、幅1メートル、
厚みも60センチはあります。
なかなかの存在感を漂わせていました。
「大熊さん、あの岩はどうしたんですか?」と尋ねると、
大熊さんは少しニヤッとして、話し始めました。
「あれはな、俺が建設会社に勤めとったときに運んだ岩だ。
ダムの建設を任されとったときにな、
工事現場で見つけて4トントラックで運んだがな。
ワシは重機を扱えるけ、転がして、ワイヤーで吊って…。」
そのときの苦労話を生き生きと話し始めました。
「かあちゃんには「なんでそんなもん運んでくるだ?」って、
呆れられたけどな、近所のもんは、
「他の石はたいしたことないけど、あの石だけはええわ」って、
言ってくれるだけ。わっはっは」と、楽しそうに話してくれました。
「入院する前みたいに、庭に出られると良いですね」と言うと、
「そうだな、これから温く(あたたかく)なるし、
虫干しして体にカビが生えんようにせんといけんな、わっはっは。」と、
初めて笑顔の大熊さんに出会った気がしました。
ホント、すごい岩だったんですよ。
「もうすぐ春ですね^^v」
