俺の頭の中は、赤ん坊が得意そうに寝返りする姿をリピートしていた。
「すごいでちゅね~。」と、お母さんに褒められて
得意げに寝返りを繰り返す赤ん坊を恨めしく思った。
(本文とこの写真は一切関係ありません)
(私とこの赤ん坊も一切関係ありません)
なぜに、40を超えたおっさんに寝返りさえも出来ない苦行を強いるのか。
いや、きっと寝たきりのお年寄りたちもそういう思いを持っているに違いない。
冷静にならなければいけない。解決方法を見つけるんだ、大造よ。
何度かトライした仰臥位→側臥位の問題点は何だ。
ひとつの解決策を考えた。
「下半身がついていかないのなら、下半身から動かしてみよう」と。
上半身は自由になるのでつい上半身に頼ってしまうのだが、
下半身を先に動かしてその動きにあわせて上半身を動かせば、
もしかしたら…。
そうだ、きっとそうに違いない…。
そう信じるほかないっ!
さっきと同じようにできるだけ両膝を曲げた。
そして膝だけを右に倒してみた。
お、意外と痛くないぞ。
よしよし、膝を倒してそのまま上半身もぐ~っと…。
やった!できたぞっ、側臥位になれた!
さあ、残すは四つん這いになるだけだ。
と、ここで名案が浮かんだ。
「片麻痺の人が自力で起き上がる方法もあったなあ。たしか三好春樹先生の本だったな。…でも、忘れた。楽な起き上がり方法ってことだったのに…。
……ああ、なんという知識のなさだ。
思い出せ、思い出すんだっ!」
…表紙じゃない。
中身だ、本の内容を…。あれに書いてあったはずだ。
いや、無理だ。書棚の肥やしにしている本の中身など思い出せるわけがない。
“買って満足♪”と思っている不勉強の俺に
神が味方をしてくれるわけがないんだ…。
そうだ、もう考える余地なんかない。
膀胱内は、すでに危険水位に達してしている。
「膀胱洪水警報」はとっくに発令されている。
ここは自力で起き上がろう。たしか手をつくんだったな。
どっちの手をつく?右か?左か?
…もういい。どっちの手も使っちゃえ。
側臥位になった真下に右手を割り込ませ、
そこから5センチほど離れたところに左手をおいて、
上半身のリフトアップを試みた。
次回いよいよ、最終回!膀胱ダムは
決壊するのか、しないのか。
「見ないとダメでちゅよ~」。

