四つん這いがダメなら、仰向けになってみよう。

そうすれば、右脇腹の痛みは和らぐことができる…。

ごろん、とすればよいのだ、ごろん、と。



でも、どうしたらいい?


上半身と下半身をつなぐ腰が全く機能しない。
上半身を動かすと腰のあたりでちぎれてしまいそうだ。

下半身が全くついてこない。

下半身をどうにかする方法…。


そういえば、うちのPTに寝返り介助の方法を教えてもらった記憶がある…。
膝を曲げて体幹に近づけることで寝返りしやすいんだったな。


やってみよう。



おそるおそる両足を曲げてみた。


おっ、痛くないぞ。ゆっくり動かさないと少し腰に響くが、

全く出来ないわけでもない。

そして、膝を完全に曲げた後、体をゆっくり仰向けになるように倒してみた。


「あ…、あ…。いいい~。」


文字にすると卑猥だが、それを気にするどころではなかった。


痛みはあったが、四つん這いになろうとするよりはマシだ。

側臥位から仰臥位になるまで20秒ぐらいの時間を費やした。


これで、右半身のジンジンした痛みからは解放された。

タンスばかり眺めていた景色も天井に変わった。ひと息ついた。




ふ~、さあ、でもゆっくりもしていられない。

まだ俺には、排尿するという大きな課題が残っている。

排泄の自立は、人のプライドに関わる日常生活動作の大きな要素だ。

俺は大人だ、社会人だ。こんなことで汚点を残してはいけない。


右半身の痛みで萎えていた戦意が、少し戻ってきたように感じた。


また、“きより腰”へ挑戦だ。叩かれても、叩かれてもへこたれない

小沢●郎のような精神力で、俺も“きより腰”を克服してやる…。


さあ、まずはさっきの要領で仰臥位から側臥位になるのだ…。さあ。


「あでででっ…」

さっきと違う。


仰臥位にはなれたのに、側臥位にはなれないのか…。

なぜ、なぜだ…。痛みが違う。

俺はボーゼンとして天井に目をやった。


側臥位になれない…。


俺は小沢●郎どころか、寝返りも満足に出来ない

生まれたての赤ん坊になってしまったのだった。


(つづく)





さあ、このあとどうなる?

続きは…明日!?

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