家の職場では「1分間スピーチ」といって、朝のミーティングのときに、ある出来事から自分はどう考えたか、などを発表する時間があります。ちょっとしたことに気づく、そこから何を考えたか、話すときに要約してまとめる、人前で話す、などの力をつけるために始めたものです。


今日は上司がこんな話をしてくれました。


「とある離島にあるドクターが建てた老人保健施設。施設はそこにしかないから、いつも定員いっぱい。ある日、そのドクターが村の住民たちと話をする機会があって、ある年寄りの住民がひと言。

「先生は、立派な施設を建てて満足だろうが、わしらはそこに入らされることを思うと、気が気でならん。満足するのは先生と家族だけだ」

と言ったそうだ。

それを聞いたそのドクターは、「入れるだけじゃダメだ。家に帰せるようにしないと。」と思った、と。それから、施設の在宅復帰率は90パーセントを超えた、ということです」。


このことを聞いて、改めて「介護保険の意義とは何だろう」と、改めて思った次第です。介護保険って、何のためにあるのか。日本国民の生活のため。それはそうですが…。

では、年寄りのためになっているか。さっきのエピソードでのお年寄りのひと言は、少なくとも施設に喜んで入ろうと考えている、とは思えません。

しかし、現状は入所施設ができれば、すぐに定員いっぱいになる。待機者が後を絶たない。そしてまた施設が建つ。また、すぐに定員がいっぱいになる。…どの地域でも同じようなことが起きているようです。


こうなっているには、なにか理由があるはず。


高齢者人口が増えているから?

平均寿命が上がって、介護が必要な期間が延びたから?

家族形態が変容して支えることができなくなったから?

いろいろ理由はあると思います。


では我々、介護に関係する仕事に就いているものに何かの理由はないか。さっきのエピソードのドクターで言えば、「家に帰ることができない、と絶望してしまうことが問題だ。だから家に帰ることができるような支援をしていこう」という目標を立てたわけです。


お年寄りを漫然と受け入れ、漫然とした時間を過ごす。それでいいのかな。
目の前のお年寄りたちが、本当に喜ぶサービスとは何でしょうね。


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