「看護婦さんは何にもしてくれん。」と、おじいさんは言いました。

デイサービスに通っている91歳になるおじいさんのひと言です。

このおじいさん、お医者さん依存症で、

体のどこかに心配があると、だれかれ構わず

「看護婦さんを呼んでくれ~、先生に看てほしい~。」と懇願します。



最近の心配は“腰の痛み”です。

「動けん~。注射してほしい~。」と。

「どこが痛い?この辺?」と、押さえたり、ねじったりすると、

「あいたたたたたた。痛いがな~、このお。」と

逆ギレする人なんです。



ポータブルトイレにも行けないし、移動にも介助が必要。

家族も困っていました。もちろん、デイサービスの職員も。

病院に行って検査しても、異常はない。






どうしようか…。





思いあたることは、

「かまってほしい。」のかな、と。



寂しがり屋なんです、このおじいさん。

家では働き者の妻がいて、かいがいしくおじいさんの世話をする。

上げ膳、据え膳。シャツやパンツの替えまで、妻の仕事。



最近、その妻が調子を悪くして、寝込みがちになっていました。

その精神的な影響なのかな。





でも、とにかくこのままだと介助が増えていく一方なので、

医療的な相談に乗ってもらいやすいデイケアに場所替えしてもらいました。



デイサービスでの、なじみの関係が途切れるのは心配したのですが。



そして、2週間後。自宅に行ってみました。

果たして、おじいさんは…。



頭から布団をかぶって横になっていました。

「お・お・た・さ・ん(仮名)。お・は・よ・う・ございま~す!」

とっても耳が遠いので、耳元まで3㎝ぐらいのところで、大声で。




「ひゃああああ~。」(ノ゚ο゚)ノ




どうも、びっくりさせてしまったようです。



「ごめんなさい、びっくりした?」

“わたし”、“わたし”と、私は自分を指さして、

「来たで~。」と、今度は非言語コミュニケーションです。



「はあああ~、田中さんか。」

状況を飲み込んだ太田さんは、ひとつため息をつきました。





「よう来てくれましたなあ。ありがと、ありがと。」と

布団から両手を出して、拝む太田さん。



太田さんはそれからいっぱいしゃべってくれました。

いっぱいすぎて、忘れてしまいました。


でも、だいたいどんな内容だったか、というと、

「デイケアはいい。デイサービスと違ってうるさくないし、

みなさんがよくしてくれる。」と。


同じ時期に始まった訪問診療もよかったようです。

「先生がわざわざ家に来てくれて、心配してくれとる。」と

太田さんは言いました。



その後は、ベッドから起きてもらって、

30分ほど太田さんと妻と3人で話し込みました。


なんと太田さんは、トイレまで歩くこともできていました。

レンタルで借りていた歩行器も使わず、杖さえも。

少しオーバーに手を振って歩いてくださいました。






「ありがとう。感謝しとります。よ~、してくれて。」。






介護度の変更申請。出しちゃったけど、これじゃ、元のままだな。

(-^□^-)






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