(前回の話)
ダイゴが子どもたちだけで釣りに行った理由。
思い当たる節がある。
あ~あ、偉そうに、
あんなこと言うんじゃなかったあ~。
(後の、祭り(ノ^^)八(^^ )ノワッショイ、ワッショイ。)
(まだ読んでいない方は、「釣り禁止!その1 その2 」をどうぞ。)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ダイゴの目から、たちまち涙があふれた。
あふれた涙はすぐに頬を伝っていった。
泣くのを止めようとしても、止めることができない。
滝のような涙。
「滝…。ダイゴは坊主…。
じっと一点を見つめる…。
滝で修行する修行僧…。
やっぱりダイゴは修行僧だ…。」
と、勝手に連想ゲームして、可笑しくなった。
…いや、笑っている場合じゃない。
ダイゴは、「釣り禁止令」を解いてほしいのだ。
釣りができないこと。それは彼にとって、
「コロコロを買ってもらえない」のと同じ苦しみなのだ。
(「コロコロ」について、知りたい方はこちら
。)
「ダイゴ、おまえが悪いんだぞ、親と一緒に行くっていう約束を守らないから。
ひと言謝れば、許してもらえるから。」
あっさり言えば、そうだろう。
ダイゴなら素直に謝るはず。
でも、謝れ、と言われて謝る、そんな男に育てたくない!( ̄へ  ̄ 凸
素直に謝るには…。
本当は釣りする事は良いことなんだよ、ただ、約束を守れば…。
というメッセージを伝えたい。
こう切り出してみた。
「ダイゴ。釣りをすることは悪いことじゃない。
その証拠に、お父さんたちは釣り針と重りを買ってきたんだ。
釣りはしても良いの。大人と一緒に行けばね。」
「えっ、買ってきてくれたか!?自分で買わんといけんと思っとった。」
…甘い、甘い親だ。スウィートだ。
買い与えてしまった。
でも、これで、親の気持ちがダイゴに伝わったら…。
「なら、見せたろか。ちょっと来ないや。」と
いって袋を見せようとした瞬間、
「しまった!」と思った。
なぜなら、袋の中には、
釣りの道具ともうひとつ、大事なものが入っていた。
それは、夜、妻と晩酌するときに食べるスナック菓子だ。
2人で1袋は必ず食べる。
そして、子どもたちにはナイショにしている。
釣りの道具と一緒に菓子を見られたら…。
「あ、ちょっと待てよ、あれ、これ…」と、袋の中をかき混ぜながら、
スナック菓子を下の方に追いやって、釣り針を見せてやった。
「うん…。ありがとう。」
ダイゴは少しだけ笑顔を見せた。
フー、何とか、乗り切ったか。( ̄_ ̄ i)
「他に何買った?袋、大きいなあ」
( ゚ ▽ ゚ ;)
見せろっ、てか?
「まあ、後はお楽しみ。とにかく風呂、入ってこいや。」
機嫌の直ったダイゴは、思いのほか素直に風呂場の方へ行った。
私はその後ろ姿を確認して、急いでスナック菓子を
戸棚に隠した。
(続く。)