舌の働きでよく知られたものは、
「味を感じる」ということです。
甘味、塩味、酸味、苦味。
これを基本の4種類といいます。
最近では旨味を加えて
5種類の味覚を持っている、という説もあります。
それ以外の舌の機能を見てみましょう。
ひとつは、一度細かくした食べ物をもう一度
ひとかたまりにする働きです。
(食塊(しょっかい)を作る、と言います。)
そのときに唾液を混ぜ合わせ、
ムチンという成分で食べ物をくるみ、
滑りをよくします。
もうひとつ、舌の大事な働きは、
食べ物が、口の中をあっちに行ったり、
こっちに行ったりするのを
適当な位置に運ぶ働きです。
適当な位置というのは、
何度も噛めるように
歯列に食べ物を持っていくということです。
また、食塊をノドに運ぶ働きもしています。
片麻痺の人で、
舌の動きが悪いと、このような働きができず、
口の横から食べ物が流れてしまう、ということが起こります。
このように、舌は食べることに非常に重要な役割を持っています。
舌の評価としては、
まず清潔かどうか。
真っ白な舌をしている方がよくいらっしゃいます。
あれは舌苔(ぜったい)と言って、
コケだそうです。
河原にある石についているようなコケ。
歯磨きをおろそかにしていると、
歯が汚れるだけでなく、
舌も汚れてしまうのです。
口の中全体が汚れているのです。
そうなると、味覚が落ちます。
また舌の動きが悪くなったりもします。
口の中全体が汚れていると雑菌が繁殖し、
気道に流れ込んで肺炎を起こす危険性もあります。
よく肺炎で入院する人は、
口腔内が清潔かどうか、
点検する価値はあると思います。
口の中が汚れているということは、
口臭もあるということです。
口臭にも気をつけましょう。
最近では、食事の前に舌の体操をする施設が見られます。
食後の歯磨きを熱心にしている施設もあります。
口腔に関心のある施設は、
全体的ケアのレベルも高い良い施設だと私は感じています。