「水分は大切」とはよく言うものの、では、1日にどれだけの水分量が必要か、ということを考えてみましょう。1日の必要な水分量を知らないと、真剣に利用者さんに飲んでいただくことができません。
「どれだけの水分が必要か」という前に「どれだけの水分が体から逃げていくか」ということを見てみます。
出る水分の代表的が「おしっこ」です。
一般成人は1日に最低800㎜㍑のおしっこを出すと言われています。
これ以外に出る水分があります。汗(不感蒸泄=ふかんじょうせつ)、と糞便です。
汗は何もしてなくても、700~1000㎜㍑は出ます。
糞便の中には200~300㎜㍑の水分が含まれています。
「運動して、たくさん汗をかいた」
「下痢をした」
という場合は、余計に水分を取らなければいけません。
以上が出る水分です。
合計すると、1700~2100㎜㍑体から出ていきます。
前回言ったように、体液は一定の濃度を保つようにできていますから、(前回の話はこちらをクリック )
これだけ水分が出ると、出た分を補給しようとする命令が脳から出ます。
しかし、これだけの量の水分を飲んでいるか、というとそうではありません。
食べ物に含まれる水分が700~1、000㎜㍑。
燃焼水といって細胞の代謝によって生まれる水分が200~300㎜㍑。
この数字、さっきも出ていました。
汗=食べ物の水分
糞便=燃焼水
トントンなんです。
ということは、おしっこの量の分だけ水分を取ればよい。
つまり、おしっこ=飲水
最低800㎜㍑は水分を取らないといけません。
話はそれますが、
お医者さんは「患者さんのイン、アウトに気をつけてくれよ。」という言葉を発するそうです、私は聞いたことがありませんが。
これは何のことか、というと、インは飲み水、アウトはおしっこのことなんです。
飲む量に比べて出す量が少ないと、体には水分がたまっていって、水におぼれた状態になるそうです。だから、心臓の働きが悪くなって血液・酸素の循環が悪くなる心不全、おしっこが出にくくなる腎不全の患者さんはイン、アウトをきちんと測っていないと危険なんですね。
話はそれましたが、実は800㎜㍑の水分では少ない、ということを書いておいて、本当はどれだけの水分が必要か、を次回ご説明します。