
タルカス(紙ジャケット仕様)
Amazon(アマゾン)
931〜4,533円
『タルカス』 (Tarkus) は、イギリスにおいて1971年5月に、アメリカにおいて1971年6月14日に発売されたエマーソン・レイク&パーマー(ELP)のセカンド・アルバム。
本作は『展覧会の絵』(1971年)、『恐怖の頭脳改革』(1973年)などと並び、ELPの代表作のひとつに数えられてきた。作詞とプロデュースはグレッグ・レイク、作曲はメンバー3人が担当した。
オリジナルLPのA面を占める20分を超える壮大な組曲である表題曲「タルカス」は、怪物タルカスが火山の中から現れ、地上のすべてを破壊し尽くし、海に帰っていくというストーリーを描いている。タルカスはアルバム・ジャケットにイラストで描かれている想像上の生物で、アルマジロのような体に戦車が合体した非常に風刺的な姿を持つ。
キース・エマーソンは「Tarkus とは帰宅途中に突然閃いた単語であり、特に意味は無く、辞書を調べてもわからなかった」と述べている。タルカスの最後の戦い相手として登場する「マンティコア」は、人の顔とライオンの胴と蠍の尾を持つ怪物で、その名前とシルエットは、後にELPが設立するレーベル「マンティコア・レコード」の名前とロゴに使われた。
ほぼ全編で使われている「ド・ファ・ソ・シb・ミb」のコードはエマーソンが書いたELPの作品の多くにも使われており、ELPらしさの象徴として知られている。作詞を担当したレイクは、当初この組曲のコンセプトに興味を示さず、エマーソンに「ソロでやれば?」と冷たく言い放ったという。
アルバム・アートワークとして、表ジャケットには伝説に無いクリーチャーであるアルマジロ型の怪物タルカスが描かれた。そしてディスクジャケットの内側部分には、物語をビジュアル化したパネル作品が掲載され、タルカスと闘うマンティコアが登場する。
火山の噴火で卵から孵ったタルカスは、自分と同じように大砲やミサイルを持つ翼竜やバッタの怪物を撃破した後、行く手にラストボスとして立ち塞がったマンティコアと闘う。そしてマンティコアの蠍の尾の棘で眼を刺され、血を流しながら海に去って行った。勝敗の行方やマンティコアの生死は不明である。
グラフィックデザインを担当したのは、ELPのアートワークを一手に手掛けていたウィリアム・ニールである。彼が描いたマンティコアは「人面ライオン」というよりは「バタ臭い男の顔を持つ狒々(ひひ)」といった風情の顔付きや体付きをしており、どことなくコミカルな姿形にリアルな蠍の尾が付いている。一方、ブラッシュアップされたイラストレーションなどには、打って変わって格好良い怪物として描かれているものもある。
1973年、ELPはレコードレーベルを設立して名称を「マンティコア・レコード」とし、ロゴタイプにはマンティコアのシルエットを採用した。また1993年に発売された代表曲集の一つであるCDボックスセット『リターン・オブ・ザ・マンティコア』には、レーベルのほうではあるが、「マンティコア」の名が含まれている。
LPのB面は対照的に小品集とも呼べる内容である。
「ジェレミー・ベンダー」は1974年、「ビッチズ・クリスタル」と「タイム・アンド・プレイス」は1997年と1998年のツアーで演奏された。
「ジ・オンリー・ウェイ」の冒頭でパイプ・オルガンの独奏でヨハン・ゼバスティアン・バッハの「トッカータとフーガヘ長調」(BWV 540)のトッカータ、中間部でピアノ・トリオに代わってバッハの「平均律クラヴィーア曲集」から「BWV 851 前奏曲 - 3声のフーガ ニ短調」が演奏される。
「限りなき宇宙の果てに」はエマーソンとカール・パーマーの共作で、ピアノを中心に据えたインストゥルメンタル。
「アー・ユー・レディ・エディ」は本作のレコーディング・エンジニアのエディ・オフォードをからかったロックン・ロールである。
2012年、新しいステレオミックスと5.1サラウンドミックスを含むリイシューが発売された。