Riot V / Mean Streets | おネギさんの温故知新 「俺の山河は美しいかと」

Riot V / Mean Streets



創設メンバーであるギタリストのマーク・リアリ亡き後も着実な活動を続けているアメリカはニューヨーク出身のヘヴィメタルバンド、ライオットが前作「Armor Of Light」から6年ぶりに通算17枚目のアルバムを完成させた。


マークが他界したのは2012年のこと。それ以降、ベーシストのドン・ヴァン・スタヴァンとギタリストのマイク・フリンツが中心となって活動を再開させた。才能豊かなボーカリストのトッド・マイケル・ホールを迎い入れてRIOT Vとして活動を再開したのは2014年のことだった。


一定水準以上の秀作を発表している彼等だが、今回も期待を裏切らない仕上がりになっている。


2023年12月1日に先行リードシングルとなるHigh Moonが公開された。彼等らしいフックの切れ味が鋭いメロディを満載にした、聞き手の心に突き刺さる疾走感で貫いた楽曲だ。続いて第二弾には重心の低いスウィング感を彼等らしい切り口で表現したFeel The Fire、第三弾がアルバムタイトルトラックのMean Streets、第四弾がLove Beyond The Graveと公開になった。ボーカリストのトッド・マイケル・ホールの歌唱を最大限に生かした正統派メロディックパワーメタルが展開されている。


ギタリストのニック・リーの病気も触れておこう。2022年7月22日に彼はMoon Toothのリハーサル中に倒れた。痙攣のような発作が続き救急車で運ばれた。病院に運び込まれても発作が続いていた模様。しかも倒れるまでの数ヶ月の記憶が失われていた。検査の結果、大脳辺縁系脳炎であることが判明した。この病気は治療を受けなければ、脳に永久的な損傷を受ける可能性があるという。現在は投薬を続けているので、問題なく日常生活を過ごせているようだ。ニックは欠かせないギタリストなので、今後の活躍にも期待したいところである。


本作は、彼等の魅力を未来に運び込んだ作風を感じる。緩急自在のダイナミズムが波の如く押し引きを繰り返して、聞き手をその奥へと引き込んでいく。全体的にアルバム全12曲は全然ダレることはなく、彼等としての指紋を楽曲に刻み込み、カラフルなメロディを縦糸に、見事な描写能力を見せつけている。緻密な整合性と、伝統と未来を呑み込んだサウンドが凝縮されたアルバムだ。


マーク・リアリの遺産として登場したボーナスCDも触れておこう。


ボーカリストのジョー・リン・ターナーを迎えたKillerや、今は亡きボーカリストのレッド・フォスターのボーカルをフィーチャーしたSign Of The Crimson Storm。これまた素晴らしいのである。またOutlawは2009年のSweden Rock、Tokyo Rose / Rock City Medleyは2009年の川崎クラブチッタでのライヴバージョンである。



DVD、Blu-rayには2018年9月23日にZeppダイバーシティ東京で実施されたLOUDNESSとのMetal Weekend 2018でのライヴパフォーマンスが完全収録されている。ダブルヘッドライナーライヴと題された1時間40分のライヴパフォーマンスの記録である。WarriorにLOUDNESSのボーカリストの二井原実さんとページストの山下昌良さんがゲスト参加。