サントリー美術館が所蔵品を中心に「メイヒンとは何か」を問いかける展覧会。

展覧会のチラシからして、「これは何?」と目を引きますが、この白い皺のある丸いのは蹴鞠用の「鞠」、周囲はそれを麗々しく保管するための「挟(はさみ)」だそうな。

作品のキャプション「学芸員のつぶやき」に「こんな鞠挟の形式は他に類例がなく」とあり、現代の鞠製作者が目指す「現代蹴鞠界のスター」なんだそうです。

 

要するにあれか?ペレ様が蹴ったワールドカップ決勝戦の公式サッカーボールを麗しい額に入れた、ということか?

…確かに「迷品」と言えるかも。

 

もちろん国宝の「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」とか、重文の「南蛮屏風」、「病草子」、尾形乾山の「白泥染付金彩薄文蓋物」など、サントリー美が誇る「名品」も多数。

 

入口もかなりな凝り様・・・

迷品の間の窓から、チラシの鞠挟が見える趣向。画像では見知らぬオジサマの後ろ頭が映っていますが・・・。

 

ワタクシが面白いと思ったのはこちら。

「樹下麝香猫図屏風」。

麝香猫が右の方をじっと見つめているのは、元々は六曲二双の屏風で、現在ボストン美術館にある右双には、番の雌麝香猫が描かれているんだそうです。

相方を恋しがっているのね・・・。

 

4階には漆工、絵画、陶磁が、3階には染色装身具と茶の湯、ガラスが展示。

 

茶の湯では、名もなき陶工が作ったであろう、瀬戸の灰釉平茶碗が素敵だった。

おおらかで、奇をてらった作為が無く、使いやすそう。しかも底に溜まったガラス釉の緑が美しい。

 

可愛らしさ炸裂の兎蒔絵茶箱。

 

 

贅沢な工芸品というより、実際に野点に何度も持参したのであろう使い込んだ感じが良いし、アニメっぽい兎が跳ねたり蹲ったり、動きがある。

 

サントリー美術館のコレクションの大きな一角であるガラス工芸では、ワタクシが最も好きな「薩摩切子 藍色被船形鉢」が出品。

コウモリと陰陽勾玉文を前後に配した、とても細工の美しい逸品。

一時、このレプリカを買おうかと思ったくらいこの鉢が気に入っていました。

レプリカでもとんでもなく高価だったので、あっさり諦めましたけど。

こうして出品の度にこの鉢を見られるのが嬉しい。

 

質量ともに充実の所蔵品、サントリーはこういうコレクション展も良いものです。

 

6月16日まで