4月に始まっていた、イラスト界の耽美的な巨匠、宇野亜喜良さんの展覧会。
満を持しての(?)鑑賞です。
企業広告からアングラ劇団、バレエの舞台美術、各種ポスター、アルバムジャケット、書籍の表紙絵、絵本、人形作り・・・非常にマルチな活躍ながら、「ほっこり」「ゆるかわ」系では決してない、ラジカルな画風。
子どもの頃から「ちょっぴり大人」「ちょっぴりエロティック」な氏の作品に魅せられてきました。
しかし、宇野亜喜良といい、和田誠さんといい、後のイラスト界を牽引する人というのは、既に幼児の頃から絵への執着が半端なくて、描きたいという欲求、表現欲の強力な人でないと一流にはならないのだなあと実感した。
同じオペラシティギャラリーで開催された和田誠展の時に発表記事が展示されていましたが、製薬会社興和のカエルのデザインコンテストで一等を獲得した二人が19歳の和田さんと21歳の宇野さんだったという事実(横尾忠則も佳作だった)。
その後の彼らの仕事量と質を考えると、この二人が1等って、凄いコンテストだったのね。
宇野氏のごく初期の作品
しかしこれ以降、寺山修司らの劇団のポスターを手掛けるようになり、折りたためるくらい細身で瞳のぱっちりした少女像で魅惑の世界を展開していきます。
生活感のなさ、現実を超越したところにある魅力。
同時に小説や新聞の挿絵も。
こういう筆致でも描ける多才ぶり。
商業ポスターの部屋。
見覚えのある作品が多い。
こちらコクーン歌舞伎
意識していなかったけれど、言われてみると宇野亜喜良よね!
中にとても懐かしいポスターがありました。
Pink Floydのレコード付録ポスター。1973年だから、「狂気」のはず。
なかよしのT子の兄さんがプログレファンで、彼の部屋に貼ってあった。
T子は熱狂的なストーンズファンだったけど、彼女の兄さんの方がワタクシの趣味に近くて、彼女の家に遊びに行くと兄さんの部屋に入り浸っていたなあ・・・。
ウォータースもギルモアも宇野流に美化されて格好いい💖
宇野さんは造形もすごくて、寺山修司の人形が本人以上に「寺山修司」という雰囲気です。
舞台美術も宇野流。
この下絵が
↓
こういう大道具になる。
さらにこの男女の壁をひっくり返すと、
↓
こうなる。
近頃ではディズニーとのコラボも
マーメードや美女と野獣が、急になまめかしくなる。
Buck-Tickへのイラスト提供も記憶に新しい。
これは描きおろしの「Razzle Dazzle」のジャケット。
宇野亜喜良とBuck-Tick、世界観に近いものがあるわね。
以下2枚は展示されていなかったけれど、おまけで。
宇野さんはB-Tの今井君とは旧知の間柄らしい。
そういえば、宇野さんは寺山修司ら舞台系の人々だけでなく、澁澤龍彦とも親しくて、澁澤へのオマージュ作品なども。
宇野さんのインタビュー映像もありましたが、うちの両親より1,2才年上だった!
でもなんと若々しく、明晰なことか。
横尾忠則さんもそうだけれど、芸術家って、あまり年をとらないのかしら。
膨大な作品をたっぷりと楽しみました。
6月16日まで