大正から昭和戦前期にかけて千葉市で活躍した画家、無縁寺心澄の特別展。

 

以前より、千葉市美の展覧会などで、昔懐かしい千葉市の風景を描いた作品を目にしてきました。

 

無縁寺心澄は新宿中出身で、私の知り合いにも沢山新宿中出身者がいるので、急に親近感を覚えてしまった(笑)

千葉中(現・県立千葉高校)の時計台の絵などが有名です。

 

裕福な農家に生まれた心澄は、終戦の年に40歳でなくなるまで、精力的に制作活動を行っていました。

チラシ掲載の作品が有名なので、それ以外の展示から。

ガラスに室内が映りこんでいるので煩わしいですが、漁船の帰還にわく港の賑わいが伝わってきますね

 

無縁寺の作品はほとんどが水彩画なのですが、その画風の確立のために、いろいろ苦労したようです。

 

中で、先日の近代美術館常設店との関連から、面白い作品がありました。

「春・落日」とあり、古賀春江の作品の影響について解説がありました。

それで、「あ、あれだ!」と思ったのが、こちら。

 

古賀春江「月花」(国立近代美術館)。

それから、画面の切り方などは、古賀の「海」にも影響を受けている気がする。

 

古賀春江は一時、日本におけるシュールレアリスムを牽引する存在だったのに対し、無縁寺はシュールレアリスムを否定的に論じています。

でも、古賀春江は無縁寺を評価し、無縁寺も古賀の逝去の際に「あんな優れた人を探そうとしても無理だ」と言うような発言をし、「春、落日」のような古賀春江の影響を受けた作品を残しています。

画家同志、主義は違っても、何か共通するものがあったのでしょうね。

 

「特別展示 無縁寺心澄」は観覧無料、24日まで