最終回
〈金〉
ありがとうと言いたくてリュウが足ひれを 合わせた時、真珠と水晶が湖に落ちていきました。
するとどうしたことでしょう。
立ち昇った白い煙の中にお父さんとお母さんの姿が現れたのです。
ずっと我慢していた声を上げてリュウは大声でさけびました。
「ブア―オウ」リュウのさけび声が山彦となりかえってきたとき、「お父さん、お母さん!」という人間の声に変わっていました。
星が瞬き首長竜は消え、リュウは人間の姿に戻ったのです。
命懸けの覚悟の上でかめとみつばちの姿になっていたお父さんとお母さん、そして周りには温かく見守るたくさんの仲間が金色に輝いていました。みんなに会うために花も虫も自分たちも意味と理由を持って生まれてきました。
それからずっと一番星の輝く頃には、 かめが海の竜宮城を案内し生命の大切さを伝えているのです。 おわり
絵は高岡洋介さんが描いてくださいました。
これは津波でご両親を亡くしてしまった子に出会って書いた童話です。
どうしているかなと気になりながらも、何もできずにいました。それでも何かできないかなと思った時に童話のことが浮かびました。
ご支援して下さる方がお金を出してくださり、クラウドファンディングによって寄付をいただき、この童話は出来ました。被災地の小学校や母子福祉会、孤児支援団体にも贈らせていただくことができました。
親だったらきっと子供に言う言葉を曜日の章の中にちりばめました。一番そばにいてほしい人が、あなたが成長する時にきっと話すありふれた言葉ばかりかと思います。何気ない日常の中でお父さんやお母さんもあなたにたくさんお話をされたかったことでしょう。
お父さんもお母さんもずっとあなたをそばで必ず見守っていますからね。
今日は終戦記念日でお盆の中日ですね。どうかお元気で。またお会いしましょう。


