なぜ配当金生活で早期リタイアをしようと思ったのかを この記事 で書いたのだが、早速予定を崩されることになった。
岸田総理は金融所得に対して増税する気満々だったが、メディアに大きく報じられたこともあってか市場の反発を買い、金融所得の増税は先送りされることになった。「1億円の壁」とやらの不公平をなくすとか言っているが、本当に所得が1億円を超える人たちだけが増税となるのかは、はなはだ疑わしいものである。おそらくもっともらしく高所得者を理由にしておきながら、全体的な増税を計るのではないかと思っている。
それを示唆するかのように、いつの間にか配当金と譲渡益の課税方式に関する変更が決まっていた。この変更は実質増税にあたり、さらには課税所得が900万円以上ある人には全く影響を与えない。つまり課税所得が900万円以下の人たちを狙い撃ちとした変更である。
配当金に対する課税方法は3種類あり、その中から申告者の一番有利となるものを選択してよい。そして今までは所得税と住民税で別々の課税方法を選択することができた。それが今回の税制改正で令和6年度の住民税からは、住民税の課税方法は所得税の課税方法と一致させることが決定された。つまり、所得税は総合課税を選択して配当控除を受け、住民税は申告不要制度を選択して源泉徴収分のみかつ住民税額を増やさない(住民税額は国保の金額や様々な所得制限に影響する)ということができていたのだが、それをすることができなくなった。結果的に納税額が増えるので実質増税となる。もしかしたらそれ以上に、国保や所得制限に対する影響の方が大きいという人の方が多いかもしれない。
(配当金に対する課税方法の説明は この記事 を参照)
何度も言うが、この変更で影響があるのは課税所得が900万円以下の人たちだけで、それ以上課税所得がある人たちには何の影響もない。それ以上の所得がある人は配当控除を利用する必要がないので全く影響しないのである。この変更についてはメディアで騒がれることがなかったので、変更するのも簡単だったのだろうか。本当はこれをこっそりと通すために金融所得に対する増税をちらつかせ世間を騒がせていたとしたら、もしかしたら岸田総理は相当なやり手なのかもしれない。
