GMの国有化で感じた「アメリカ的サクセスストーリの終焉」(MONEYzine) | ひつじtrader4のブログ
以下、(GMの国有化で感じた「アメリカ的サクセスストーリの終焉」(MONEYzine) より引用)



GMの国有化で感じた「アメリカ的サクセスストーリの終焉」(MONEYzine)


■出口を気にし始めた市場


 リーマンショックのあまりにも大きなショックに世界は息を飲み、市場は唖然として為す術もなく買い手不在のまま下げるに任せ、遂には最後の買い手として世界中の政府が救済に乗り出してきた。


 国によって対応は異なるが、日本でも麻生首相の錦の御旗は「景気対策」であり、何でもありの無茶苦茶ぶりだが、税収より国債の発行額が大きくなっても、それでも世の中が静かなのはショックがそれほど大きくて、ここは政府にお願いするしかないと感じていたからであろう。


 資本主義の本家のはずのアメリカですらGMを国有化するなど、まるで社会主義国同様すべてがお上頼みになった感があり、USAがいまやUSSAとソシャリスト(Socialist)のSを入れてからかわれる始末。「USSA」とはつまりユナイテッド・ソシャリスト・ステーツ・オブ・アメリカ(United Socialist States of America)という意味であり、さすがのアメリカ人もこれまでの価値感を大きく変えなければならなくなったようだ。


 アメリカンドリームとは大きな家に住み、キャデラックに乗るのが典型的なサクセスストーリーとされていた。プレスリーはピンク色のキャデラックを10台ぐらい持っていたらしいし、それに憧れるのがアメリカンスタイルだった。


 そのGMがこの始末。さすがにアメリカ人の価値感もいまや大きく変わり始めたようで、再生GMの行く手も厳しいものになるのは避けられまい。まだひと波乱もふた波乱もあると考えておくべきだろう。


■一難去ってまた一難


 そのGMの教訓からわれわれが学ぶべきことは、アメリカ式経営がはたして市場や投資家にとっていいことなのかという、ごく素朴な反省ではないだろうか。


 会社は株主のもの、それにはまずROEを高めることと無邪気にまだ信じていたとすれば、GMの破綻からは何も学んでいないことになる。


 ROEを高めるのは簡単である。資産を少なくすれば利益は同じでもROEは上昇する。
 加えて経営者にはストックオプションで報酬が支払われるとなれば、目先的な利益を追求し株価を上げる経営とならざるを得ない。当然研究開発費や長期の設備投資は後回しになる。GMはそのアメリカ的経営の終わりのシンボルとして捉えるべきだろう。


■市場は変化していくもの


 企業の本来の役目は世の中のためになる存在であり続けることであり、そのためには社員、取引先などはもちろんユーザーなど社会からも支持されなければ存在そのものの意味がない。


 市場も変化していくもの。これからは単に儲けることだけではなく、社会と共生できる企業を選別する動きに変わっていくだろう。


 さて、ガイトナー財務長官はこのGM騒ぎを尻目に何と北京に出掛けていた。
 もちろん米国債のセールスが目的だが、リーマンショックが醒めて改めて世の中見渡せば、政府がどんどんカネをばら撒いたおかげで、市場にも安心感が出てきたのは確かだが、一方で心配もある。


■インフレになるのか、デフレが続くのか


 このガイトナーの動きを見ていると、市場もそろそろバラ撒かれた対策の後始末がどうなるのかも気にする動きが出始めたようだ。


 巨額な財政赤字の出口がどうなるのか、どう片付けるのか、その間金利や為替はどう動くのかなど気にする動きも見えつつある。


 降りから再び金価格も1000ドルに迫ってきた。インフレになるのか、このデフレがまだ続くのか、厄介な局面にさしかかってきたようだ。


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(三原 淳雄)




引用はここまでです。