今の情勢では(あるいは従前から)、日中の民間交流レベルでも、政治・イデオロギー・近代史の問題を口にするのは一種の「タブー」であったが、一層、その色が深くなるかもしれない。
以下に毎日新聞の解説記事をしめすが、鄧小平以来の経済路線・(限定つき)自由化路線―市民間の格差拡大の問題が背景にあって、共産党保守派の強い巻き返し・示威が今回の暴動のエスカレートを招いているとの主旨である。
習副主席は、要職にあった父が文化大革命で「批判」され、流罪に近い扱いにあったあと、その保守反動の中で、農村部から上海市の書記にまで上り詰めた男である。ただ者の二代目政治家ではない。
特に外交姿勢では(本人の本心の如何に関係なく)保守派を強く意識しているとされている。
<以下記事> ※改行位置、赤字位置、「けん制」の用字は引用者修正
中国・反日デモ 指導部、対日強硬崩せず 党大会前、保守派の影
毎日新聞 2012年09月17日 大阪朝刊
日本政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化に対する中国の反日デモは16日も各地で展開された。
指導部が世代交代する共産党大会を控え、安定を優先する当局がデモを一定の範囲で容認している背景には、日本に強硬姿勢を示して牽制する意図だけでなく、指導部内の微妙な力関係で柔軟な対応に踏み切れない事情があるとの見方も出ている。
【北京・成沢健一、上海・隅俊之】
「毛主席、万歳」。
北京の日本大使館前で16日に起きたデモでは、多くの集団が新中国建国の父、毛沢東の肖像画を掲げ、声をそろえて毛沢東をたたえる集団もあった。
上海でも16日、大小の毛沢東の肖像画がデモ参加者によって掲げられた。
上海市郊外から参加したという20代の男性は胸に毛沢東の肖像が描かれたシャツを着ていた。
「国民の多くが平等だった毛沢東時代の方が良かった。今の政府のやり方はおかしいことばかりだ」
と語った。だが、尖閣諸島の問題とは直接関係ないのではと問うと、口をつぐんだ。
中国では貧富の格差や官僚の腐敗が深刻化するなか、保守派や若者の間に毛沢東を崇拝する動きが広がっているが、これまでの反日デモで毛沢東の肖像画を掲げるケースはなかった。
今回の反日デモの広がりには保守派の支持拡大を反映したものとの見方もある。