現代社会では多くの人が、
「漠然とした不安」を抱えて生きています。仕事でも私生活でも、
大きな問題がないように見えても、
「私の人生はこれでいいのだろうか」
という漠然とした感覚があるようです。
存在そのものの抱える、
空虚な感覚と言えるかもしれません。
人類史的には長いこと、
宗教のようなものが生きる意味、
生きる充足感を与えるという、
大きな役割を担ってきました。
けれども、今は一人ひとりが、
自分で見つけ、選択する時代かもしれません。
私たちの生活は、
霊性から分離したものになり、
ある面では軽やかになりましたが、
ある面では軸を失い、
存在することの不全感を抱えています。
これらはすべて、
分離の感覚によるものです。
この社会のスピード、
効率主義、
競争原理といったところに、
うまく乗れている時は気にならずとも、
弱っているとき、
歯車がずれたとき、
なにかを喪失したとき、
病や怪我をしたとき、
人生の黄昏時にさしかかったとき。
私たちは、
もっと深いところに、
救いを求めてゆきます。
マインドフルネスのような、
いまここに目覚める手法が
これほどまでに広まったのも、
実存的な空虚感からの解放を
切実に求めたからではないでしょうか。
私たちは、
切り離されたスピリチュアリティを、
もう一度生きようとしています。
誰かや何かに依存するのでなく、
自らのたましいが納得した生を、
選択し、創りあげてゆくのです。