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児童精神科医の佐々木正美先生の著書
「完 子どもへのまなざし」より
自閉症傾向の子どもへの伝え方についての内容をシェアしたいと思います。
このような特性のない子にも有益な情報ではないかと思いました!
p272~
何かを伝えるときは肯定的に
私の勤める大学で、自閉症についての勉強会があったとき、
そこに出席されたお母さんが
「小学生の子どもがトイレに入ると、水洗の水を何度も
流して水遊びをしてしまう。
どんなに叱ってやめさせようとしても、どうしても聞き入れません。
長いあいだ、このくせが直らないので、
あちこちの相談機関を訪ねあるいています」
という悩みを話されました。
自閉症の子どもたちは、何事にも
「こうしなさい」といわれると理解できても、
「こうしてはいけません」と否定的にいわれると、
何をどのようにしていいかわからなくなり、
混乱が大きいのが普通です。
そこで、私たちは参加しているほかのお母さんたちと
あれこれ話し合いました。
そして「水は1回だけ流してください」ということを
紙に書いてトイレの壁に貼ったらいかがでしょう、
という結論になりました。
さらに「水は1回だけ流してください」という伝え方ではなく、
「水1回だす」というように、できるだけ単純に明確に示す
ことにしたらどうでしょうかと、
そのお母さんに提案しました。
後日、勉強会に出席されたお母さんは、
「トイレに<水1回だす>と書いた紙を貼ったら、
子どもがすぐにその指示にしたがってくれたので
大変におどろきました」とおっしゃっていました。
子どもたちは水遊びが好きですから、保育園や幼稚園でも
水道の水を流しっぱなしにして、遊んでいる光景を見ることが
よくあります。そのとき先生に「何ちゃん、水を出しっぱなしに
して遊んではだめです」とだけいわれますと、
自閉症の子どもたちは、では何をすればよいのか、
自分では考えだせないので、水道の前で混乱し、しゃがみこんだり
かんしゃくをおこしたりしてしまいます。
一般のこどもたちは、「何ちゃん水遊びやめなさい」といわれただけで、
ブランコに乗りにいったり、砂遊びをしたり、何で遊ぶかということを
自分で考えだす応用力や想像力を発揮します。
先生にだめといわれたのは水遊びだけですから、
じゃあ、こうして遊ぼうと考えるのが、一般の子どもの感覚です。
知的障害のあるダウン症の子どもたちも、
自分でつぎの遊びを考えます。
しかし、自閉症の子どもたちには、どんな場合でも
「そんなことをしてはいけません」というような、否定的な言い方ではなく、
「これをしよう」というふうに、肯定的にいってあげないと
意味が伝わりません。
みなさんが、その子の遊びをやめさせたいと思ったら、
「やめなさい」というかわりに、「ブロックで遊ぼう」とか、
「ブランコに乗ろうか」とか、何をしようかというふうに、
つぎにどうすればいいのか、どうすることなら許されるのか、
どうしてほしいかということを、この子たちに
伝えてあげるのが上手な保育です✨
具体的に何かを伝えるときには、話し言葉は、できるだけ
使わないほうがいいですね。
言葉がしゃべれる子だからといって、私たちが話していることも
わかるかというと、そんなことはありませんから。
それに、この子たちには口でいうより、目で見える形で、
たとえば文字で伝えたほうがいいのです。
できれば簡単な絵カードで示すと、もっとわかると思います。
一番いけないのは、「どうしてそんなことするの」とか
「何度いえばわかるの」というような、情緒的、感情的な言い方です。
これは最悪です。
こんな言い方をされると、この子たちは、さらにわからなくなるばかりでなく
だめだという否定された感情だけが、記憶に残ってしまいます。
日々の生活のなかには、「そんなことしてはだめだ」とか、
「どうしてそんなことするの」とか、そういうことを
いわなくてはならない場面が多くあると思います。
つい私たちは、だめな点を直そうとして、否定的な言い方を
してしまいますが、話し言葉の場合には穏やかに、
具体的で短い言葉で、しかも肯定的に伝えるといいです。
できれば、目で見てわかるように紙に書いてあげることが、
この子たちを育てるために、非常に重要な基本原則だと思います。
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「こうしなさい」といわれると理解できても
「こうしてはいけません」と否定的にいわれると“混乱する”
とありましたが、
このような特性があってもなくても
大人でも、場合によっては
否定形で指示されるよりも
具体的にこうするのが良い というような
丁寧な説明がもらえたほうが、
その指示を受け取る立場として考えてみても
良好なやり取りができるのではないかなと思いました。
様々な特性について一つずつ
学んで理解を深めながら
お子さんと一緒に少しづつ成長していけると良いですよね
毎日苦労することが本当に多い子育てだと思いますが
大変な子育てを頑張るママのことを
これからも、陰ながら応援していきます