宮城まり子さんとねむの木学園 | 中川貴美子(きみcom)ブログ

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中川貴美子(きみcom)です。
文章を書いたり絵を描いたり。
猫とミュージカルと英国が大好き。
2024年10月4日〜初個展予定です。

少し前に録画していたNHKBSの番組

「歓びの絵 ねむの木学園 48年の軌跡」

を観ました。

 

 

もとは2016年に放送されたそうですが

今春93歳で亡くなった宮城まり子さんの追悼として

再放送されたもの。

 

 

宮城まり子さんは女優の役作りのために

訪れた障害児施設の現状を見て

衝撃を受け、私財をなげうって

「ねむの木学園」という肢体不自由児養護施設を

個人で作ったことで知られています。

 

 

当時は「女優の売名行為だ」と声もあったそうですが

もう50年以上生涯を捧げてきた

宮城さんのことをそんな風に

言える人はいないんじゃないでしょうか。

 

 

若い頃の動画を見てもらうとわかりますが

宮城さんはいかにも女優という美貌ではなく

まるで天使が大人になったような

独特の可愛らしい声の持ち主。

 

 

そのことが

当時は逆にいろんな憶測を

呼んだのかもしれません。

 

 

単に保護し教育するのではなく

ねむの木学園では、いつでも

好きな画材を与えられ

自由に絵を描くことができます。

 

 

その中から

素晴らしい才能がいくつも花ひらき

子供たちの筆から生まれてきた

3万枚以上の絵は

今も全部大事に保管されているとのこと。

 

 

子供たちの絵は評判を呼び

やがて全国でねむの木学園の

展覧会が開かれるようになりました。

 

 

私も

展覧会に行く機会はなかったけど

この絵「雪だるまの赤ちゃん えーんえーん」は

たぶん一番有名じゃないかな。

ポスターで見た記憶があります。

 

 

番組では89歳の宮城さんが

東京の展覧会で

 

「福祉は文化です。

文化的な日本であるために

これからもどうぞ(活動を)守ってください」と

 

しっかりした声で

訴える姿が印象的でした。

 

 

やがて大人になる子供たちの

自立、すなわち職業を得ることについても

宮城さんは真剣に考え、

「ねむの木村」という広大な

施設も作っています。

 

 

「絵が描けなくなった。

挫折したみたい」と落ち込む

「雪だるまの赤ちゃん」の

作者・としみつさんに手紙で打ち明けられると

 

「挫折するって、自分でそれがわかるって

素敵なこと。

挫折があるからそれを乗り越える体験ができる。

どんなにえらい絵描きも挫折をしています。」

 

と、宮城さんはお返事を書いたそう。

 

 

歩くこともだんだんと困難になり

車いすから立ち上がる時も

一人では難しい。

4年前でこんな状況だったら

今年はホントに大変だっただろうと

亡き両親のことも思いつつ、

大きな足跡を残した

宮城さんを

しみじみと思うひとときでした。

 

 

 

ただ愛だけが

あったんですね。