松山や 秋より高き 天守閣

松山に初めて行きました。とりわけ行きたいと思っていたわけではありませんでした。年に2度もある社員旅行。今時珍しいくらいの昭和的な会社。そんな機会でも無ければ、決して行く事は無かったと思います。

しかし、縁があれば、こうやって行くもんなんだとしみじみ思いました。それは、正岡子規と言う人物の出会いがあったからです。

今まで、正岡子規と言う人、勉強した事があったけど、興味なんて全くなかった。しかし、今回松山に旅行して、坂の上の雲ミュージアムに立ち寄りました。そこでこの、松山や… の句を読んだ時、とても胸を打ちました。



四国は、空海が修行した場所であり、その島自体がパワースポットとも言われています。そして、数々の文豪が出ているところを観ると、この写真の通り、美しい自然に囲まれた、とても美しい場所であると言う事がわかりました。

俳句は、感情を入れないで、情景描写を淡々と読む方が良い。それ以上難しい事は分からないけど、正岡子規の生きた時代の人々は、本当に勉強されたんだと思います。その魂が、現代にも跡を残しているように思います。

町には、夏目漱石の坊ちゃんの時代に出てくる衣装をまとった人達が歩いていて、ムードを盛り上げてくれます。それを観ながら、みんなどのような学生生活をして、どんな夢を語り合ったのだろうかと想像しました。



霜よけの 笹に風吹く 畑かな

風のきつい時でした。寒さの中にも、情緒と風情を感じる正岡子規の俳句には、何故か心温まる物がある。難しく考えてつい眉間にしわを寄せて考え込んでしまう日常に、少しの楽しみと温かさをもたらせてくれる俳句、この短い句の中で、正岡子規の人懐っこそうな人間性も感じられ、音楽と共通する物を感じます。


いくたびも 雪の深さを 尋ねけり

松山の温かい気候の地方でも、雪が降る事があるそうです。めったと無いそうですが、この短い句だけで、その雪に対する人の思い、感情がしっかりと伝わります。自分でもそのような美しい俳句が書けないものか?すぐには無理かも知れないが、正岡子規のように、自分の感情を前面に出さず、さらりと良い歌を歌いたい。それが今の理想です。そして、そんな正岡子規の世界に少しでも長く浸っていたい… 

今はそんな気持ちです。

松山、良い所でした。