でも私にとっていつまでも色褪せない宝物の記憶の一つだと、思い返して改めて胸が熱くなりました。
その人にとっては何気ない一言で、きっとそんなこと言ったかどうかも記憶になくても。
誰かの心に一生残るような、誰かの人生を動かしてしまうような、そんな言葉ってあると思うんです。
こりーさん(仮名)が私に言ってくれたことを、私はずっと忘れない。
でも会話全てが名言過ぎてなかなかまとめられずにいたので長年放置していました(笑)
あの頃の私が救われたように、誰かもこりーさんに励まされたらいいなって思うのでこれを書きます。
遡ること数年、私がまだオーストラリアにいた頃。
そして長男を妊娠する前。
私のワーホリビザはもうすぐ切れるので、学生ビザに切り替えようかどうか迷っていました。
Benのビザは私よりも半年ぐらい後に切れるので、その半年だけオーストラリアに残りたかったんです。
でも何を勉強したいのかわからない。
はっきり言ってビザが欲しいだけ。
会計とか勉強する学校が無難かなー。
なんて思っていました。
Benの為にオーストラリアに残る
男の為に学生ビザをとる
それが自分の中ですごく嫌で。
だから自分と葛藤する中でどうにか、オーストラリアにもっといたいとか、もともと勉強し直したいと思ってたからオーストラリアで学校に通う方が英語も鍛えられるし一石二鳥とか、色んな言い訳を作っては自分に言い聞かせていました。
どれもしっくりこないけど、でもBenと離れたくなくて。
遠距離になるのは嫌。
私の中では、Benのワーホリ終了まで一緒にオーストラリアで過ごして、その後は二人でニュージーランドにワーホリかな?
とか思っていました。
私は、自分のことは自分で決めたくて、だけどそんな意地を通して遠距離を選択出来るような強さもなくて。
Benと離れずに済む筋の通った理由が欲しかったんです。
そんな時に出会ったこりーさん。
美人の日本人女性でした。
オーストラリア人の旦那さんがいて、英語も堪能。
料理もスポーツも堪能。
私、天は二物与えるやーん!って人にけっこー出会いますw
こりーさんは、旦那さんが高給取りで、働かなくても十分生活出来るのに仕事しながら学校に通っていて、資格を取ってバリバリ働く為に頑張っていました。
優しくて強くて、自信に溢れた人でした。
私はそんな素敵なこりーさんがすぐに大好きになりました。
私はビザをどうするのか毎日一人で悶々と悩み続けていて。
友達がいないことにも慣れていたので悩むときはいつも一人(笑)
毎日同じ事をぐるぐる考えていました。
Benの為にオーストラリアに残る?
違うやん、勉強したいんやろ私。
え、会計の勉強がしたいん?
え……
みたいなループ(笑)
一度エージェントに話を聞きに行ったら、すごくやりたい仕事のための学校を紹介してくれて、それめっちゃいい!!って思ったけど、なかなかそれを現実に出来るような気もせず。
なんでだったのか忘れたけどとりあえず会計が無難だと思っていました(笑)
こりーさんとの会話の中で、ふと私が学校に通おうと思っているという話になりました。
なんとなく会計でも勉強しよっかなーみたいなことを言うと、
「会計ってのは自分との闘いだから楽しめる人は少ないって聞いたし、どんどん法律も変わるから一生勉強していかないといけないよ。
国が変われば法律も変わるし。
なんとなく学校行きたいって理由で選んだら辛いかも知れないよ。」
と、ばっさり。
私は自分が生きる上でいつでもしっかりと自己を持って行動しないといけないと思っていたし、だからそんな適当なことを言って正論を返されたことがすごく恥ずかしくて。
何が勉強したいの?って聞かれて、ぶっちゃけビザが欲しいだけです…って答えた時にはすっかり自信をなくして小さくなっていました。
それから、非現実的で笑われるかなーと思いつつも何となく、本当はこんな仕事がしたくてーと、エージェントが出してくれた選択肢が自分のやりたいことだと話すと、こりーさんがびっくりして
「え、何それ!やりたいことめっちゃ明確じゃん!
そんな人珍しいよ!大抵の人は自分が何をしたいのかわからないものなんだよ!
やりたいことがあるならそれをやるべき!やりたいことちゃんとあるってすごいことなんだよ!」
と言ってくれたんです。
もう、泣きそうになりました。
迷いだらけで、やりたいことちゃんと持ってるなんて気付かなかった。
眼鏡かけたまま眼鏡探してるみたいな←
でも確かに自分のやりたい仕事は明確だった。
でも無理って諦めてたから選択肢になかった。
勝手に諦めてた。
「でも、そんなのは結局後付けなんです。
私、Benがいるからオーストラリアにもう少し残りたいだけなんです…
どうせ学校に通うなら、何か資格を取ってこの先に活かしたいだけで…」
頼りになる旦那さんがいながら、自分の足でしっかり歩いてるこりーさんを前にして、私はなんて中途半端なんだろうと思いました。
Benと離れたくないから、そこそこ大金はたいて学生ビザに切り替えるなんて。
しかもそこまで金銭的余裕もなかったし、一旦日本に帰るのが無難な選択肢でもあり。
「わかるよ、私も若かったら同じ事を思うはずだもん。
彼の為にオーストラリアに残るの嫌だと思うはず。
実際私も同じこと思ったし。
でもね、好きなら選ばなきゃ。
今お金がないから日本に帰って、そのせいで別れることになったら嫌じゃん好きなのに。
それが男に流されてるみたいで嫌って思うかも知れないけど、それでも大事なら選ばなくちゃ。
もしも金銭的にきついなら、生活費を彼に甘えることは出来ない?
一緒にいるんだから頼ってもいいと思うの、それできちんと勉強して資格が取れたらいくらでも恩返ししていけるんだから。
やりたいことちゃんとあるんだから、一緒にいる方がいいよ!」
もう、このときの会話全部録音して一生置いておきたいぐらいこりーさんの発すること全てが素敵でした。
今となれば、国際恋愛って好きなだけじゃ駄目で、一緒にいたいなら否応なしに結婚することになるというか(笑)
遠距離ってなると本当にとんでもない距離だし(笑)
だから、男に流されてるとかそんな問題じゃない部分もあるから、そこまで思い詰めなくて良かったのかも知れないです。
でもあの頃の私は、自分の人生を彼氏の為って理由で決めてしまうことは「ださくて」「カッコ悪くて」「自分を持ってなくて」「弱虫」なんだと否定していました。
そんなことないよーばかやろー\(^o^)/
って今ならわかるけど、確かにそう思った自分がいとおしくもあります(笑)
そんなに「自分の人生は自分で!!!!!」って強く思う熱い気持ちを持った時代も今は過去なので。
Benと一緒にいたいからオーストラリアに残りたい。
そんな不純な動機でもいい?
好きだから選ぶ。
それってアリ?
私はいざというときいつも自分を否定してしまうので、大真面目に肯定してくれたこりーさんの言葉に涙をこらえながら、自分に与えられた選択肢ときちんと向き合うことを決めました。
そんな熱い会話をした数週間後に私は妊娠。
産むことは決めていたけど、今後のことが不安で不安で、途方に暮れていました。
その時偶然こりーさんにお茶に誘われて。
実は子供が出来たんです。
と話しました。
こりーさんはびっくりした後、笑顔で
「え!!!!おめでとう!!!!」
と言ってくれました。
「おめでとう」と言ってもらえるの?
私がいーちゃんを妊娠した時、私は嬉しかったけど、すごく不安になりました。
私は未婚でBenと付き合ってまだ1年未満。
結婚の話が出たこともなく。
(私は、この子に誰からも祝福されて産まれて欲しいのに、私のせいでそれが叶わなかったらどうしよう…)
産むのか産まないのかを問われたらどうしよう。
無計画なのは自分であってこの子ではないのに、この子がかわいそうだと言われたらどうしよう。
自分は何を言われても構わないけど、この子の人格を否定されるようなことを、自分のせいで言われてしまったらどうしよう…
こりーさんの笑顔と「おめでとう」は、その不安を吹き飛ばす威力を持っていました。
今でも鮮明に覚えています。
誰かに肯定されるということは、人生において最も心を救われる瞬間ではないでしょうか。
散々学校がービザがー彼がーぐだぐだーの話を聞かせた後に、妊娠した私に笑いかけてくれたこと、祝いの言葉をくれたこと。
「こういうことは人にどんどん話す方がいいの!何か意見が返ってくるから!」
その時一緒にいた、もう一人の素敵な日本人の方も祝福してくれて、でき婚に対して後ろめたい気持ちでいる私にそう言ってくれました。
そう、自分の人生を揺るがす大きな出来事は絶対に自分一人で抱え込まずに人に話してみる方がいいんです。
妊娠に気付いた直後でひどく動揺していた私を支えてくれた言葉のひとつです。
そして二人は、どこでどうやって暮らすのがベストか、日本で彼と暮らすなら…等のアドバイスをくれました。
私も絶対にこんな素敵な人たちみたいになりたい。
自分の性格の悪さを開き直るのはもうやめて、この人たちのような人間になっていきたい。
もう何年も会っていないし疎遠になりつつありますが、私は絶対に忘れない。
あのときどれだけ心が救われたか、どれだけ嬉しかったか。
私がBenに甘えて甘やかされて、一句一言に振り回されてBenの意見を優先しても、いいんだと思えたのはこりーさんのおかげもあるのかも。
長年の付き合いじゃなくても、深く関わったわけじゃなくても、その場かぎりの出会いでも、その人の言葉が人生を変えることがある。
自分もそんな人間にいつかなれるように、立派に生きたいと思っています。
(いつかはきっと…
笑)
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