一年前の下書きを見つけました。

まとまらなかった感情をそのまま記していたので

備忘録としておいておきます。。。

 

 

 

悲しくてどうしよう

友人の訃報を受けて心のやり場がない

仕事中に涙が止まらなくなってトイレに籠もって声を殺した

 

"我慢しなくたっていいよ"

他人が同じ事情でいたら、きっと私はこう声を掛ける

でも私には他人に泣いているところを見られたくない気持ちがあって

何があったかを口にしなければならない状況を避けている

だって言葉にしたら耐えられないんだから

 

お通夜も告別式も予定は知っている

一通りの顔なじみには連絡をした

驚いて電話を掛けてくれるけど

 

やはり言葉にしたくなくて、受話ボタンが押せないでいる

生きてるうちに

あと何回

こんな気持ちになればいいのかな

悲しくなるくらいなら

失うとわかってるなら

出会いなんてない方がいいんじゃないか?

そう考えてしまうほどに

心が落ち着かなくて

思い出を集めて家族の方々に渡すことになったのに

画面が濡れてしまって

うまくいかなかった

早くしなきゃ

時間は無限じゃないんだもの

 

同じ時代

同じ仕事

同じ趣味

違うのは

笑ったときの愛らしさがずば抜けてて

その顔だけ飾っておきたくなるほどの人

どうして?何も悪いことなんてしちゃいないし

まだ若いよ?

わかんないよ

なんでだよ。。。

 

こんな場所にこんなことを書いて

私はちょっとずつ

現実を受け止めようとしてる

 

世間でも他界された方のニュースが日々飛び交うけれど

残された人の思いは向こう側の人には届くことはなくて

ただただ何か出来なかったかと

あの日会えたんじゃなかったかと

そしてまたいつかなんて

考えては止まらない

 

 

分かっていることですが

再確認しておきたい

 

今、あなたも私も生きています

そして

その周りの人も同じく生きています

今と未来の連続が人生

生きていること自体が奇跡

だから

どうか生きて生き抜いて

”またあした”が言える日々を

大事にしてください

己の心に灯りが灯るように

人様にだって灯していい

どうにも辛いなら

"辛い"って言っていいし

逃げていい

命はやっぱり1つだけ

そのひとつを使い切って

天命を全うするしかないんです

人生は進む以外の方向はないんです

その先にあるのは同じ結末

それを手繰り寄せる必要はありません

みんな今も現在進行系で結末に向かっています

 

歳を重ねればそれだけ

人を見送る機会が増えてく

私達の命は儚い

あなたもアイツも私も同じ

自分が生きている事を実感するのは

死と向き合ったとき

肉体が止まって、人の世界が終わっても

世界は続いていきます

みんなが持っている世界は

ひとりだけのものじゃなくて

カケラかもしれないけど、周りの人々も持っています

どうせ持つものなら

キラキラ輝くほうがいい

 

どうせ生きるなら

笑っていられるほうがいい

 

 

明日も生きましょう

落ち込んでも悲しくても

前へ前へ

 

あの世なんてない

もう会えない

でも消えたりしない

思いは永遠なんだ

 

 

 

 

お通夜にて

 

棺の前で何を言おうかな

そんなことを考えていた

入場はしているのだけれど

祭壇に目を向けられないでいた

”辛いとこんなにも前を向けないものか…”と

自分に問うた

 

ひとしきりお別れの言葉や所作を終えた人達が

ロビーを抜け退場する中

人の目を避けるようにトイレに向かった

どうしようもないくらい泣けてしまって

両手で声を殺した

しばらくの間うまく息が出来なかった

 

呼吸を整え

彼の顔が見たくなった

気が付くと祭壇のある方へ歩いていた

私は棺の前で立ち尽くしていた

こみあげてくるのは悲しさよりも少しの怒りだった

 

もう声を殺せなかった

”はえ゛え˝え˝ぇえええんんんだよぉぉぉ!ばかああぁ!”

そんな乱暴な言葉を吐いた自分に驚いた

だって、棺の中の彼はまるでいつものように

穏やかな顔をしていたから

ひどい嘘に騙されているんだ。そう思いたかった

 

沢山お酒を呑み、たくさん喋った挙句私より先に夢に墜ちる

それが常だった

私は喋り足りなかったけど

呑み散らかしたテーブルを片付けながら

次回あの話をしてみよう。なんて考えながら

彼に毛布を掛けてあげたんだ。何度も何度も何度も。

 

朝が弱い彼はいつも私の立てる物音で目を覚ますんだ

”ああ˝ぁぁ…あああ~§〇△〇✖Ω~”

いつも寝起きの一言目は聞き取れなくて

でも間違いなく清々しい顔をこちらに向けて微笑んでいた

そんな頭痛と共に来る朝が

散らかったあの場所が私は好きだった

 

そう、そのときの顔が目の前で

なんの音も熱も発することなく

とても静かに目を開けられないでいる

送り人によってさらに綺麗になっていた

どれほどメイクアップされていても

事実は変わらなかった

 

”ねえ、もう充分だよ?

起きてよ、みんなちゃんと驚いてたよ?”

 

私はなんの装飾もなく思いのままに言葉を出していた

 

”最悪のジョークだよなコレ”

 

 棺の足元の方から声がした

お兄さんだった

その顔はとても穏やかで

でも何かいつもと違くて

でもそれを聞いてはいけない気がして

私と彼とお兄さんの会話は続いた

 

”こんなに人が来たことあったかよ?なぁ?”

お兄さんの問いかけに答える者はいない

 

花で飾られた部屋で優しい顔をしている兄弟

よく似たその顔を見ていたら苦しくて堪らなくなった

”明日も来ますので”と雑にお辞儀をして

私は外に出た

 

 

翌日

昨夜とは少し違う面子が集いお別れの式は行われた

仕事や用事で来られない人もいて

世知辛さを感じた

 

告別式では家族や近親者からの弔辞や

これまでの感謝が述べられた

 

お母様からの言葉が

私達の心をギュッと苦しめた

 

”私のところに生まれてきてくれてありがとう”

”苦労ばかり掛けてごめんね”

”ゆっくり休んでね”

 

自分の親にはこんな言葉は言わせまいと心に誓った

そして出棺までの間、花を棺に入れていく中で

皆が皆、覚悟を決めなければならなかった

 

肉体がなくなる、、

顔もなにも灰になっちゃうんだ、、

もう二度と、、

そんなことを考えてしまったら

こみ上げてくるものを堪えられなくなった

どうにか顔をあげて周りを見渡したけど

誰一人平常心を保てた人はいなかった

 

私は友人で家族じゃない

でも、

あたしは近くに居たんだ

確実に時間を共にしていたんだ

たくさんの思い出をくれたんだ

 

そんな人が思い出になってしまうんだ

悲しいことしか考えられなかった

手を合わせる先には黒塗りの車が一台

彼を遠い場所へ連れていくんだ

長いクラクションの音が切なさを掻き立てた

 

家族の方々はそのあとを追う

火葬場へ私達はいかなかった

 

見送る時、お兄さんが微笑みながら言う

”じゃ、行ってくっから。またね”

無理して笑うその顔に応えるようにあたしも

出来るだけの笑顔をした

そうするしかなかった

泣いてばかりじゃ彼は心配するから

夜中でも飛んできてしまうから

 

 

 

 

 

 

 

あれから一年が経った

相変わらず、日常は過ぎていった

仕事して

帰宅して

眠れなくても何とか寝て

また朝が来て

何度週をやり過ごしても

彼の存在感が薄れることはない

 

きっと今日もどこかで誰かを助けたり

励ましたり手伝ったりしてる気がしてる

穏やかな毎日に彼がいない

その違和感だけがずっと残る

きっとこれからも

 

 

やっとお母様にあう日が来た

一回忌に逢いに行った

”いらっしゃい、来てくれてありがとね”

声は違うけど彼とおんなじ優しい雰囲気が流れていた

彼はみんなの中に生きている

 

バイバイじゃないみたい

会えないだけ、見えないだけ

そう思ったらなんか気が楽になった

会えてよかったと心から言える人はそう多くない

彼はそんな一人

 

あたしが死ぬときは

可能な限り孤独がいい

だって、すごく悲しかったから

誰かの大事な人になんてならなくていい

みんなを見送って最後に明かりを消す役目を

いつもの宅呑みのときのようにできたらいい

そんなどうでもいいことを思っているけど

 

彼に言ったら怒られそう

”独りぼっちでいるんじゃないよ”って

何回言われたかわかんないくらい

彼は気にかけてくれたから

 

あの世があったらいいなと

思えるような今日この頃

しっかり歳を重ねて

しっかり爺と婆になって

ウザがられながら大往生しようねって

友達と約束した

 

人生って長くて短い

毎日を大事になんて聴き慣れたけど

こんなことでしか思い出せないんだ

 

今日も生きて

明日も生きる

しぶとく生きるくらいしかできないけど

冥途の土産に出来る話を沢山集めておこう

あっちで終わらない宴をする為に

 

 

 

 

しのごの言わずに生きましょう

どーせいつか終わりますから

 

See You Again