ホントは怖い「崖の上のポニョ」(2/4) | 理恵ごのみ

ホントは怖い「崖の上のポニョ」(2/4)

 この記事は、『ホントは怖い「崖の上のポニョ」(1/4) 』の続きです。
 先に上のリンクから、(1/4)を読んでくださいね♪

 では、相変わらずネタバレ注意で。





 8つ挙げた不思議を、一つ一つ考えてみます。

【不思議その1】
なぜ、世界がジュラ紀(だったっけ?)のような太古なのか?

【それは……】
 何億年も過去の恐竜時代にすることで、現実とは遠くかけ離れた世界という意味を持たせたのではなかろうか。
 恐竜時代なんて、化石などから研究は進んでいるものの、私たちにとってはSFのような世界です。同じ地球上で起こっていた出来事なのに、まるで別世界のように感じます。なので、ジュラ紀になってしまったということは、それが異世界だという表現になっているんじゃないかと思いました。


【不思議その2】
なぜ、大勢の人が大漁旗を掲げた船に乗って仲間を連れて進んでいるのに、ソウスケとポニョの小船を助けるわけでもなく、誘導することもなかったのか?

【それは……】
 単純に考えれば、ソウスケの船は自立操船できているから……なんだけれど、そうではなくて、なぜ大人が子供たちだけで行かせてしまうのかという部分からの不思議です。
 二人には「リサを探す」と「ひまわりへ行く」という二つの明確な目的があるから、大人達はスルーしたとも考えられます。しかし、だとしても、子供だけで行かせるにはどう考えても危険すぎます。
 そこで到達した結論は、大人たちは、ポニョが怖かったんじゃないだろうかということです。
 先ほども話したようにポニョは異世界の生き物(モンスター)で、怪物というのは人間が持つ畏怖の念から、時として神のように崇められることがあります。ソウスケはポニョと近い位置にいることと子供だから気付いていないだけで、大人にはポニョが近付きがたい「神、または神のしもべ」だと分かり、ポニョには何も触れずにスルーしたのではないでしょうか。
 まさに、触らぬ神に祟りなしです。
 するとここで、ポニョの存在ってなんだろうという疑問も生まれるので、これを【最大の謎】として、最後に考えてみます。


【不思議その3】
しかも彼らが、なぜ「我々も後でそちらに向かう」と言ったのか?

【それは……】
 普通に考えると、そちら=老人ホーム「ひまわり」ですが、彼らが向かっている先は、本当にそんな単純な場所なのでしょうか?
 大人たちは他の人々も拾ってから「ひまわり」に行くという解釈になってしまいますが、常識的に考えたって子供だけで、敢えて言うならば畏怖神であるポニョを除くので、子供=ソウスケだけで、「ひまわり」を助けられるわけがありません。
 すると彼らが言った「そちら」とは、「ひまわり」である可能性が非常に低くなります。
 では、何なのか?
 考えられるのは、一つしかありません。
 異世界……ストレートに言えば、「死の世界」です。

 怖くなってまいりました……

 けれど、怖い解釈ができる部分は、これだけではないんです。


【不思議その4】
ぽつんと現れた雰囲気が異なる小船の家族は、そもそも何者なのか?

【それは……】
 特に注目したいのは、母親の方です。
 公式サイトの、

映画「崖の上のポニョ」公式サイト

 「作品の内容の解説」ページ下にある、真ん中より少し左の小さなアイコンをクリックしてください。その母親の解説が書かれています。
 そこには「古風な女性」とあります。
 なぜ、彼女だけ「古風」に描かれているのでしょうか? そもそも、なぜこの家族だけ、大勢の人たちと一緒の船群にいず、ぽつんと寂しく小船にいるのでしょうか?
 しかもこの家族は、別に「そちら(=死の世界)」に向かっているわけでもなく、何かのんびりとしています。
 古風な彼らが慌てずに存在しているということは、この水に覆われた世界に昔から小船で漂っているから、周りの人たちのように焦るようなことがなく、のんびりしていると考えられます。
 要するにこの家族は、魂が成仏できずに「そちら」へ行くことができない、悲しい存在なんだと思います。
 そしてここで、新たな疑問。ソウスケたちが先へ行くと、赤ちゃんが突然泣き出します。それは何故なのかということです。【不思議その5.5】で考えてみます。

 長くなったので、ここで記事を新たにします。