前回は、ベートーヴェンの生まれ故郷ボン時代の話しに

触れてみました。

もう少し、ほのぼのするお話を。

私にとってもよいものなので。

 

 

ベートーヴェンは、子ども時代、

酒乱の父からスパルタ教育を受けていたというのは

紛れもない事実ですが、少年期から、幸せな環境にも恵まれていた。

 

ボン時代の、貴族であるブロイニング伯爵夫人とその子ども達との交流は、

ベートーヴェンのその後に大変大きな影響を与えたと思います。

 

 

ブロイニング伯爵家には、

ベートーヴェンと同じくらいの年齢の子どもが4人いました。

その中に、ベートーヴェンより1歳年下の、エレオノーレという女の子がおります。

ベートーヴェンは彼女にピアノを教えていました。

 

お互い、恋い焦がれあってもおかしくはない年頃。

 

ベートーヴェンは22歳のときに音楽の都で大都市のウィーンに

出ます。才能ある若者がいつまでも田舎のボンにとどまっているわけには

いきません。

 

 

ウィーンに出てから、

故郷ボンにいるエレオノーレに宛てた手紙がいくつか残されています。

それが、とってもほのぼのしているのですよね。

ただ、ウィーンに来て1年経ってから、初めて出したようで、

さほど強い恋心があったのかは疑問です。

ベートーヴェン23歳、エレオノーレ22歳。

 

彼女からベートーヴェンへ出していなかったのは、

恐らく、居場所がわからなかったからでしょう。

 

 

手紙の1つを、かなり省略して意訳で紹介すると、

「親愛なる友!

・・・・・(途中略)

お願いしてもいいでしょうか。

我が愛する友、ぶしつけなお願いです。

僕の見栄のためなんだけど。。

あなたのお手で兎の毛でチョッキを編んでくれませんか。」

 

そんな内容です。

チョッキを編んでほしい理由は、

「ウィーンの人々に、ボンに僕のためにこんなのを作ってくれる乙女がいることを

見せびらかしたいんだ。

ボンにいるときに、あなたからもらったチョッキは今も持っているけれど、

流行遅れになってしまったので、

大変貴重な物としてタンスにしまってあるだけになってしまいました。」

ざっとこういうこということです。

 

なんともほのぼのしい!

流行遅れで着られないとは、ベートーヴェンもお洒落ですね。

 

「近いうちに帰れそうもありません。」とも書いており、

ウィーンでうまくいっており、ボンに帰る気などさらさらなさそうです。

 

 

また、翌年、エレオノーレに出した手紙には、

「あなたのお手製の美しいネクタイにびっくりしました。」

 

エレオノーレがネクタイを作って贈ってきたのでしょう。

ベートーヴェンは、長々、丁寧なお礼を述べて、お返しに曲を贈っています。

 

 

しかし、こんなことも。

「さようなら、我が友よ。わたしはあなたをほかの呼び方では呼べないのです。」

 

 

1802年、エレオノーレは、ボンのヴェーゲラーという医師と

結婚します。ヴェーゲラーは、ベートーヴェンが最初に耳の不調を伝えた人物で

大変な信頼関係と深い友情で結ばれている友です。

手紙で耳の病を伝えられると、ヴェーゲラーは、ベートーヴェンに

どんな治療をしているんだ?と、手紙で大変に気遣います。

 

ヴェーゲラーとエレオノーレ夫妻とは、

ベートーヴェンの人生の最後まで交流が続きます。

 

 

このエレオノーレの、ヴェーゲラーとの結婚をもって、

ベートーヴェンはふられた、という説があります。

ベートーヴェンの失恋体験の始まりというような。

 

 

しかし、恋心が強かったのはエレオノーレの方で、

ふったのは、むしろベートーヴェンではないかと。

そのように考えるベートーヴェン研究家もいます。

 

 

1802年というと、エレオノーレは31歳で、当時としては、

遅すぎる結婚です。

エレオノーレの方が、ベートーヴェンがウィーンから帰ってくるのを

待っていて婚期が遅れてしまったと考えるのは自然ではないかと。

そういう考えです。

 

 

確かにベートーヴェンの手紙では、「友」、「最愛なる友」という言葉のように、

「友」が強調されています。

感謝や懐かしみはあっても愛を語るような言葉は全くない。

 

また、エレオノーレがヴェーゲラーと結婚した前年は、

ベートーヴェンは、ウィーンで、

貴族のご令嬢で、社交界の花ジュリエッタ・ギッチャルデと恋愛関係にあり、

そのことをヴェーゲラーに手紙で知らせています。

 

ベートーヴェンは、このころもう大スターです。

 

ベートーヴェンはヴェーゲラーへの手紙で

「僕は彼女(ジュリエッタ)を愛し、彼女も僕を愛している。

しかし、身分が違うんだ。」と嘆いています。

 

この手紙を読んだヴェーゲラーが、

ベートーヴェンとジュリエッタの恋愛関係を

エレオノーレに伝えたということも十分考えられます。

 

 

ジュリエッタは、「月光ソナタ」を贈った相手です。

 

月光ソナタは、彼女の煮えきらない態度の、

破局寸前のイライラ感が

爆発したものかもしれません。

 

その後、ジュリエッタの方は、さっさと貴族の男性と結婚してしまいますが。

 

映画に使えそうな展開ですガーン

 

 

ベートーヴェンとの結婚など、貴族の家が許すはずもありません。

当時は、貴族の女性が平民の男性と結婚すると、

女性は貴族の身分を失うので、

夫婦のその後は悲惨な人生となってしまいます。

まだ、そんな時代です。

 

 

ベートーヴェンは、

エレオノーレにはチョッキをおねだりしていましたが、

甘えているんですよね。

要するに、幼なじみです。

 

 

ベートーヴェンの手紙。

とても味わい深いです。

20代という若い青年でも、やはり作曲家です。

大変に細やかな心情、心配りが隅々に溢れています。

 

音楽はそれ以上に細やかなのですが。

 

 

言葉もしっかりと選んでいる。

作曲において音を選んでいるのと同じように。

 

 

ジュリエッタの煮えきらない態度にイライラ爆発して

破局寸前、作曲したのが「月光ソナタ」だとすると、

同じタイプの曲がもう1つあります。

 

 

ベートーヴェン物語の楽しさは尽きることがありません。

ちょっとやんちゃですが、わかりやすい人だと思います。

性格、ねじ曲がってないです。

ねじ曲がった作曲家、たくさんいると思うんですが。

 

 

血液型、典型的△型じゃないでしょうか爆  笑爆  笑爆  笑

 

 

 

ではまた。

ごきげんよう  ブルーハーツ ブルーハーツ