さて。

前々回のブログで、

「モーツアルトの精神をハイドンから受け取りたまえ」

という言葉を持って、

ウィーンに出てきた22歳のベートーヴェン。

「続き」のお話です。

 

 

ハイドンの元に弟子入りするものの、

当時のハイドンは超売れっ子。

 

ハイドンは

エステルハージ家という、

ハプスブルク家(王家)に忠誠を誓った大貴族に、

音楽学長として雇われた「激烈猛烈サラリーマン」

の仕事を終え、

ベートーヴェンが弟子入りしたころは、

イギリスに渡って大人気を博していた。

 

 

とても若手のベートーヴェンに作曲を教えるなんて時間はなかった

というエピソードが残っています。

 

 

ベートーヴェンも教えを乞うことができずかなり不満を持っていたようです。

 

 

そんな中、ベートーヴェンがウィーンに来て約3年。

 

ベートーヴェンは、

ハイドンにピアノソナタ3曲を献呈しています。

それが、ピアノソナタ第1番、第2番、第3番。

 

 

このソナタを見ても、

ハイドンやモーツアルトの音楽を手本にしていたことが、うなずけます。

ソナタ形式というものを一所懸命学び、

充実させようとしている。

 

「ベートーヴェンがハイドンにピアノソナタ3曲を献呈している以上、

双方の関係はさほど悪化していなかったのではないか」、

という意見があります。

 

 

曲の献呈は、相手に対する感謝や敬意の記しである。

一般論としてはその通りである。

 

しかし、ベートーヴェンがハイドンに献呈したピアノソナタ1番から3番は、

本当にそうなのか。

 

私は懐疑的です。

というより、結論が出せないでいます。

 

まず、ピアノソナタ1番1楽章の第1主題。

 

 

これは、モーツァルトの交響曲第40番ト短調の

第4楽章の第1主題からとったものではないでしょうか。

ト短調とヘ短調の違いだけです。

 

 

次に、ピアノソナタ第2番第1楽章の第1主題

 

 

これは、モーツァルトの交響曲第41番『ジュピター』の

1楽章の最初の方の伴奏からとったものではないかと思われる。

 

 

全くそっくりではないが、主題にふさわしくすべく、

ベートーヴェンの手によって整理されている。

以前から変わったメロディーとリズムだなあと思っていましたが、

モーツァルトに原典ありではないでしょうか。

 

 

1番はモーツァルトから。

2番は、絶対とは言えないが、モーツァルトっぽい。

 

 

およそ、嫌いな作曲家や目にもくれない作曲家のものからは

引用したりはしないものです。

 

 

問題はピアノソナタ第3番です。

1楽章の第1主題。

 

これが、私にはわわからないのです。

ベートーヴェンのオリジナルか、

これもモーツァルトからとってきたのか。

あるはハイドンの音楽からとってきたのか。

 

 

いずれにしても、

1番ソナタと2番ソナタの冒頭にくる、

最も印象づける第1主題をモーツアルトから持ってきたとしたら。

 

 

これは、尋常とは思えないのです。

形の上ではハイドンに献呈しておいたが、

中身はモーツァルトへの敬意とか。

「目指すはモーツアルトなり」宣言。

 

 

ベートーヴェンならやりかねません。

当時、ベートーヴェン25歳、ハイドン63歳です。

 

 

25歳のベートーヴェンがどんな環境だったかというと、

このころは、ウィーンで、モーツァルトのピアノ協奏曲を

自作のカデンツァを披露して演奏し、

ピアニストとしては華々しいデビューを飾っています。

 

いよいよ作曲にも本腰入れて、名を上げていきたいと思っているところでしょう。

 

 

老63歳のハイドン先生からは何も教えてもらっていないにも関わらず、

私は優秀な弟子を持ったなどと言われるのがしゃくに触って、

嫌みの一撃を残したなんてことは、

ベートーヴェンなら、ホント、あり得る話しです。

想像するだけも面白い。

 

 

 

とはいえ、ハイドンは、ピアノソナタ、交響曲、

弦楽四重奏の父とも言われる大家。

 

ベートーヴェンがこれらを研究し、参考にし尽くしていることは

間違いありません。

一大作曲家とみていることは確かです。

初期の作品には色濃く出ていると言われている。

 

私は、ハイドンの交響曲やピアノソナタには

詳しくなく、片っ端から聞くほどの余裕も気持ちもありませんので、

3番のピアノソナタがどういういきさつかまではわかりかねます。

 

 

 

いつか、3番ソナタ1楽章の第1主題の出所をつかんでから

自信を持ってこの話しを書いてみたかったのですが、

結局、わからないまま。諦めました。

問題提起にとどめておきます。

 

 

「モーツァルトの精神をハイドンから受け取りたまえ」

という言葉。

ワルトシュタイン伯爵は何気なく語ったのかもしれませんが、

ベートーヴェンとしては、

「ハイドン先生からは何も教えてもらってない」と叫びたかったのかも。

 

想像は膨らみます爆  笑

 

 

ここに載せた話しは、本当に未完で検証不十分です。

問題提起ということにとどめて頂ければ、私としては幸いです。

 

 

GWも終わり、また生活感ある日々に戻ってきました。

毎日、マイペースでいきましょう!

 

 

ではこの辺で。

ありがとう晴れ 晴れ