今日は独り言ブログです


毎日午前10:00以降、

私の電話はほぼ繋がらないので


母がとうとう

LINEでメッセージを

送ってくるようになった

目下練習中だそう


私は最近

鑑定終了後の午前3時頃

次男の寝顔に頬ずりしながら


1日に母から送られてきた

複数のLINEをまとめて

読むのが日課だ。


「こんにちは。今は、車中です。いつものカフェでオペラ歌手大沼さんの歌唱の素晴らしさについて皆さんと語り合う予定です。このような時間が楽しめるのも貴女のおかげですよ。貴女を信頼しているので、安心して過ごすことができます。ありがとう。可愛い可愛い孫達のこと、頼みますよ。」


「今、ホームにいます。トイレに品川行きの切符が落ちていて、駅員に届けました。失くしました、との届け出があった直後とのこと。御礼を言われることは、心地よいものですね。孫達はいつも、ありがとうございます。としっかり言えますよね。貴女の躾の良さを感じていますよ。日頃の積み重ねが大事ですね。子育て、自信を持ってね。では仕事に行ってきます」


こんなメッセージが

LINEの画面いっぱいに

踊っていて


結局眠れなくなるのです


母は、団塊世代。


女性管理職が1%と言われる時代に

教育業界で校長職を貫いた

鉄の女性だ


「鉄人」とはいえ

明るく美しく慈愛に満ちていて

生徒はもとより

保護者にすこぶる慕われ


スーパーに買い物に行けば

保護者の囲い込みにより

1-2時間は帰ってこなかった。


母の独身時代、

年度始めの家庭訪問で生徒宅を訪ねると

何度もエリート男性とのお見合いの席が

用意されていた、と

人づてに聞いたことがある


なぜ父と結婚したのか、謎だ(ごめん、パパ)


ちなみに

美形の母に顔立ちが似ているのは

亡き兄で、


残念ながら

私は父似だ(パパ、ほんとうにごめん)


40年以上前のこと。

そんな溺愛する難病の兄を

「遠方の施設に預けず

 地域の触れ合いの中で心豊かに育てたい」

との想いから

母は普通学級教諭から特別支援教諭に

なるべく、資格を取り直す


今の時代とは全く違う

40年前の教育現場で、だ。


教育委員会教育長に掛け合い

信じられないことに


他の障害を持つ生徒様と共に

筋ジストロフィー症である兄を

ほんとうに

自分のクラスで受け持つことになる


「自分の息子の担任を受け持つ」


異例中の異例の事態に

教員間でバッシングまで起きた


しかしその後

母の慈愛と熱意溢れる教育者魂が


当時閉鎖的だった特別支援教育の

在りようを

根底から覆すことになる


母の研究授業に県内から多くの教員が

見学に訪れるようになった


生き生きと生命力に溢れる

生徒達の瞳の輝きに


教育の本質とは何か?

命を育む教育とは何なのか?


そこに居合わせた

教員全員が肌で感じ

衝撃を受けたであろうことは

想像に難くない


その後母は、

特別支援教育の第一人者・

草分け的存在として


管理職候補に

女性でただ1人、名を連ねた。


父と兄が早くに病で他界した後、

教育現場の管理職を貫く

母の苦労は並ではなかった


男性社会で希少な女性。

壮絶ないじめもあった


見かねた周囲から

再婚の話を勧められるも

見向きもせず、

母は仕事に邁進していた


おそらく私のために選んだ道だ


「頼れるのは己の力のみ。

これからの時代は女性といえど

自立して生きろ」


今思えば、再婚を選ばなかったのも

私への物言わぬメッセージだったのだろう



生徒様や他人様へは

聖母のような母なのに、


娘である私にはスパルタだった


成績は勿論、

書道、英語スピーチコンテスト、

日本語弁論大会、陸上…

すべてにトロフィーを

獲得することが「暗黙の至上命題」


そして私は思春期の途中で

病に倒れ、

この「持続不可能なお役目」を放棄したのだ。


冒頭に戻る。


母のLINEのメッセージを読み返し

今更だが理解することがある


私に対するあのスパルタ教育は


「完璧に至らぬ状態は許せない」

という彼女自身の不安の表れだったのだ


他人には寛容であり、

優しく、謙虚で真摯な母。


一方で


自分自身や私に対してとなると、

「完璧でなければいけない」

「不甲斐ない姿を見せてはならない」

という強迫観念が顔を出し、


恐怖心が無意識領域を巣食っては

その矛を自分と私に向けていたのだ


「誰にも負けない能力をつけてやりたい」

「私のような辛い思いをさせたくない」


という「守りたい」想いの強さは、

そのまま「愛の強さ」だったのだ、と


今になってあらためて

思いを馳せ、涙が溢れる


母のLINEから伝わる真(まこと)の言葉を

目のするたび


私を娘に選んでくれたことへの

何とも表現しがたい

感謝と


きっと一生超えることのない

偉大すぎる母の背中に


ひとにぎりの虚無感を

夜な夜な

感じつくすのです


a.Michell