花組公演『アルカンシェル』~パリに架かる虹~

 

キャスト別の感想です。

 

基本れいちゃん(柚香光さん)を中心に観ているのですが、他にもいろいろと印象に残る方がいます。

 

以下、公演の内容に触れますので、知りたくない方はご注意下さい。

 

また、あくまでもわたしの感じたことですし、記憶違い等あるかもしれませんがご容赦ください。

 

 

 

人物相関図は、こちらから

 

 

 

マルセル・ドーラン(柚香光さん)

 

ミュージックホール「アルカンシェル・ド・パリ」のスターダンサー

※役についての説明(ここの部分)は、プログラムに書かれていることからあげています。他の方も同じ

 

オペラ座バレエ学校で天才ニジンスキーの再来と騒がれながら、教師と喧嘩して飛び出したそうです。

 

 

そういうお役ですから、ダンスシーンがたっぷりあって、目も心も奪われっぱなしとなります。

 

オペラでガン見していることが多いのですが、ダンスシーンは拍手や手拍子が多いのが悩ましいところ。しっかりしているつもりですが照れ

 

 

本編中の、れいちゃんの主なダンスシーンをあげてみます。

 

1幕第1場B「魅惑のパリ」では、黒燕尾にシルクハットとケーンで登場

 

宝塚大劇場初日では、この姿を観ただけで、もう泣きました。

 

エレガントかつ華やかで、いつも胸躍る場面です。

 

 

第2場「モンマルトルのピエロ」は、れいちゃんの表現力に、あらためて感動

 

ぺぺ(一樹千尋さん)の歌う「フルフル」で踊るのですが、こんなに魅力的にピエロを演じられる人はいないように思います。

 

そして、音楽が替わり、ピエロの衣装を脱ぎ捨ててからのダンスが、またすばらしく、身体全体を使った表現がとても印象的でした。

 

 

第5場「ナチスドイツの稽古場視察」の場面では、「SWING」の曲に乗り、軽快でキレッキレなダンスを

 

前回書いたように、わたしは、アルカンシェルの人たちから歌い出した方がいいような気がするのですが、それは別として、とても楽しくて大好きなダンスシーンです。

 

 

第14場「美しく青きドナウ・ジャズバージョン」になると、カトリーヌ(星風まどかさん)との関係性も深まり、迫力と色気がありました。

 

 

2幕第2場「ココナッツ・パラディ」は最初あまりいいとは思わなかったのですが、今ではとても楽しみにしています。公演を重ねて場面の温度が上がり、ますます盛り上がってきたような

 

れいちゃんは、銀橋を踊りながら渡ります(途中片足でポーズするところも)

 

 

第8場「ÇA C’EST JAZZ」では、わたしは、れいちゃんに関してはダンスより歌の方が印象に残っています。でも場面としては重要なダンスシーンだと思います。

 

 

第10場「地下水道」は、厳密にはダンスシーンとは違うかもしれませんが、戦いとなると踊りで表現するのが宝塚。レジスタンスとして銃を持って踊っています。

 

 

ダンス場面だけで長くなってしまいましたが、それ以外の場面も、とてもすてきです。

 

れいちゃんのお芝居が大好きなのですが、このマルセルでも本当に細やかな表現をしているように思います。

 

今も深化していて、迫力もさらに増したように感じています。

 

歌もすごく良くて、特に「たゆたえども沈まず」と「ヌーヴェル・アルカンシェル」は、大事なところで歌うことでもあり、心に響きました。

 

 

印象的な場面はたくさんあるのですが、やはり1幕ラストの連行されるところは胸を打たれます。

 

そして、レジスタンス5人で肩を組むところ。5人とも大好きです。

 

れいちゃんの演技も少しずつ変化していて、東京では、ちょっと呆然とした後、じわじわと喜びがこみ上げてくる感じだと思います。

 

あと、取り調べを受けているところとか、爆破操作所で銃口を突きつけられるところとか・・・照れ

 

 

カトリーヌ(星風まどかさん)との場面では、彼女を思う気持ちが本当に伝わってきて・・・

 

れいちゃんはラブシーン(キスシーンも)の名手でもありますから、初見のときはドキドキしました。

 

アドリブでは可愛らしさも見せてくれています。

 

 

前回書いたように、フリードリッヒ(永久輝せあさん)と、深く絡む場面があったらよかったのに、という気持ちがあります。

 

国や立場が違っても、エンタメを愛する二人ですから、(対立も含めて)その気持ちの通い合いが、もう少し前面に出る脚本だったら、れいちゃんのお芝居もさらに生きたのではないかと

 

もちろん、まどかちゃんとの場面もすてきですし、トップコンビの退団作ですから、そちらに重点が置かれるのは当然だとして、十分両立できたのではないかと思います。

 

子イヴ(湖春ひめ花さん)やぺぺを思いやるところや、劇団やレジスタンスの仲間とのあたたかい関係性もすてきだと思います。

 

 

まだまだ、書き足りませんが、とにかく、登場する場面すべてで美しく、全部好きだ、となってしまいます。

 

 

フィナーレでも、本当に魅力的で、崇高な感じさえするほどの圧倒的な存在感を見せています。

 

特に、たった一人で踊るときの表情は、こちらまで浄化されるような気持ちがするほどでした。

 

公演も終盤に近づきましたが、大千秋楽の日まで、れいちゃんが持てる力を十二分に発揮し続け、幸せな気持ちで舞台を務められますよう、願い続けます。

 

 

 

カトリーヌ・ルノー(星風まどかさん)

 

「アルカンシェル・ド・パリ」の看板歌手

 

まどかちゃんによく合った役だったと思います。

 

わたしはあまり少女っぽい役のときより、ほどよく大人のまどかちゃんが好きなのですが、カトリーヌは艶やかでしっかりした考えもあり、すてきな女性になっていたのではないかと

 

看板歌手としての華やかさも十分な一方、真面目で責任感がありそうなところも、まどかちゃんから受ける感じにフィットしている感じ

 

歌は、クラシックは持ち味とは少し違うと思いますが、安心して聴けました。

 

衣装はどれもよく似合って美しかったですが、個人的には、慰問のときに着ているシルバーの毛皮がついた紺色っぽいお衣装のときが、しっとりした魅力があり、好きでした。

 

カトリーヌはモテモテで、コンラート(輝月ゆうまさん)に言い寄られる場面も3回ほどあったのですが(そのうち2回は同じホテルの部屋あせる)、似たような感じになっているのがちょっと残念。もちろん、まどかちゃんのせいではありませんが照れ

 

まどかちゃんの場面で一番好きだったのは、フィナーレのデュエットダンス

 

美しさと可愛さのバランスも良く、れいちゃんと踊る姿は本当に幸せそうで、こちらも幸せな気持ちになりました。

 

 

 

 

フリードリッヒ・アドラー(永久輝せあさん)

 

ナチス・ドイツの文化統制官。演劇担当

 

プログラム等の解説や小池先生の言葉などを読むと、やはり設定が変わったのかなあと思います。

 

フリードリッヒについては、前回も書いた(れいちゃんのとこでも)ので、繰り返しは避けたいと思いますが、脚本や演出上ちょっと残念に思う点がありました。

 

とはいえ、ひとこちゃん(永久輝せあさん)が魅力的なのは間違いないです。軍服もよく似合うし、歌声は伸びやか。

 

わたしが好きな場面は、「慰問」のところで、マイクの前で一人になった子イヴを見るところ

 

優しく気遣うような眼差し、どこか淋しげな表情が心に残りました。

 

「特別な任務」を受けパリに戻ってきて、アネット(星空美咲さん)と会うところの、「起きるなら、今奇跡が起きて戦争を止めてほしい」の台詞も、言うに言われぬ複雑な心情を伝えるようになってきている感じがします。

 

フィナーレでは歌唱指導で朗々と歌い上げ、男役群舞ではかっこよく踊っています。ちょっとですが、れいちゃんと踊るところもあり、とてもすてきでした。

 

 

 

イヴ・ゴーシェ(聖乃あすかさん)

 

現代のミュージックホールの若き歌手。ぺぺのひまご

 

プログラムでは上記のようになっていますが、舞台での自己紹介では「キーボード奏者です」と言っています。

 

この物語でただ一人の現代人であり、物語の語り手を務めています。

 

最初に観た時は、ほのかちゃん(聖乃あすかさん)がなんだか気の毒な気がして、物語の中の役で入れてほしかったと思いました。

 

ほのかちゃんを語り手役にしたいのなら、少々ベタですが、劇作家を目指す団員とか、ルポライターとか・・・

 

とにかく、イヴは舞台に出ずっぱりで膨大な台詞をしゃべっている感じなので、大変ではないかと思いました。

 

それでも、ほのかちゃんの実力と魅力で、単なる説明に終わらず、パリ市民側にしっかりと気持ちを寄せていたのは立派だったと思います。

 

ナチス・ドイツに対する苦々しい思いも、一番出していた気がしました。

 

そして、すごく美しくて、歌も力強かったです。

 

 

ちなみに、新人公演では、大人イヴの設定が変わっていました。

 

本編では、ほのかイヴはひめ花イヴの孫にあたる(つまり別人)ですが、新人公演では同一人物(子イヴが成長したのが大人イヴ)で、自分の体験した時代を話すような形になっていたように思います。(ややこしくてすみません)

 

「ÇA C’EST JAZZ」の場面では子イヴは踊らず、大人のイヴと並んで、ジャズの狂騒(「狂った時代」と歌詞にある)を見ている感じでした。

 

本編と変更ないところもあり矛盾点もあったのですが、これならイヴを物語の語り手にしたのも、なんとなく納得できるように感じました。

 

 

 

コンラート・バルツァー(輝月ゆうまさん)

 

ナチス・ドイツの文化統制官。ヒトラーの親衛隊SSの大尉

 

初見の時からすごく存在感がありましたが、公演を重ねてますます迫力が出てきたように思います。

 

わたしは観るたびに少しずつ印象が違っていて、最初は、ストーリー展開上必要な、典型的な悪役だと思いました。

 

ちょっと戯画っぽいとこもあったような

 

それが、東京で、コンラートの表情を正面から観て、震えたことがあって・・・

 

ブログにも書いたのですが、本当に執念深く、厄介な男なのだと感じさせられたのです。

 

もっともこの時ほど強烈な印象はその後はないのですが、きっと観る位置やわたしの感じ方にもよるのでしょうね。

 

可愛い一面を見せるところもあるのですが、ナチス・ドイツの悪を表現しなければならない役どころで、大変だと思います。

 

パレードで、まゆぽん(輝月ゆうまさん)の優しい笑顔が観られて、よかったと思いました。

 

 


アネット(星空美咲さん)

 

「アルカンシェル・ド・パリ」の歌手

 

フリードリッヒの恋人になります。

 

カトリーヌがドイツに行っている間は、代役をつとめていて、お芝居でもレビューシーンでも大活躍。フィナーレではエトワールも。

 

歌は以前にもまして声が出ているようでしたし、お芝居も自然でよかったと思います。(ただ、最近台詞をちょっと叫びすぎのような気も)

 

占領下でドイツ兵と付き合っていた女性は、解放後かなり厳しい扱いを受けた(頭を丸刈りにされて引き回されたりした)らしいので、アネットは大丈夫なのかと心配してしまいました。

 

 

 

れいちゃんの部分が長くなってしまいました。ごめんなさい。

 

書き切れなかったので、キャスト別 (2) へ続きます。