花組公演『鴛鴦歌合戦』宝塚大劇場公演のキャスト別感想です。
いろいろな登場人物に見せ場があるこの作品、観劇していて目が足らない思いをしたこともよくありました。
できるだけ多くの人について書きたいと思いますが、どうしてもれいちゃん(柚香光さん)多めになってしまって・・・
宝塚大劇場公演終了後に、TVや書籍などを見て感じたことも、時々入っています。
以下、公演の内容に触れますので、知りたくない方はご注意ください。また、あくまでもわたしの感じた事ですし、記憶違いなどあるかもしれませんが、ご容赦下さい。
人物相関図はコチラから
浅井礼三郎(柚香光さん)
れいちゃんの礼三郎さんについては、今までもかなり書いてきたので、重なる部分もあると思いますが、あらためて振り返ってみます。
受け身の部分が多く、難しい役だと思うのですが、圧倒的な存在感がありました。
プログラムの人物紹介では「木刀削りで生計を立てる貧乏浪人」ということで、基本着流し姿にむしりのカツラなのですが、それでこれだけ格好良く、華と色気を感じさせるのは、れいちゃんならではだと思います。
宝塚版では新たにエピソード(というより本筋)を加え、それが礼三郎に大きく関わっているため、原作映画とは役の在り方も変わったように思います。映画どおりの台詞や行動もあって、その点も難しいのではないかと感じました。
これだけ変えるのであれば、脚本上もう少しその過去や心情がわかるものが入っていた方が・・・と感じたことがあったのですが、れいちゃんは細かいお芝居を積み重ね、礼三郎さんの人となりや心情を感じさせていったように思います。
たとえば、「第六場C 山寺」の場面での、「親をばかなんて言っちゃあいけないよ」という台詞ですが、初日の頃は強い調子で言っていたのが、だんだんと優しく、お春ちゃんの気持ちを慮るような言い方になっていったような。
この場面では、公演途中から「親孝行したい時分に親はなしってね」という台詞も入り、育ての親のことを語る言葉と相まって、「きっと、礼三郎さんにはいろんなことがあったんだろうなあ」と感じました。
「第十四場 城下町」(大団円の場面)は、最初は唐突感がありましたが、れいちゃんのお芝居が人情味を増していくにつれて、すんなりと胸に入ってくるようになりました。
ついでに言うと、優しさと人情味が増した礼三郎さんは大好きですが、わたしは初日の頃のちょっとニヒルで翳が感じられた礼三郎さんも素敵だと思って、れいちゃんの『眠狂四郎』(市川雷蔵様の)を観てみたいと思いました。
礼三郎さんの見せ場のひとつは、第十三場の立ち廻り。
初日から切れがよくて素敵でしたが、公演を重ねる毎に余裕が感じられ、笑顔も見えて、楽しそうだなあと思って観ていました。
そこでのおみ足披露がとても話題になりましたが、初日に拝見したときは、「み、み、見ていいのでしょうか」とドキドキしました。
チラリどころではない大胆さで、豪快に見せて下さっています。
歌劇9月号の「話の小箱」で、小柳先生が「脚が見え過ぎではないかという緊張感もあるんですが(笑)。私が指示しているわけではなくて、本人が・・・。まあ夏だし・・・いいかな(笑)」とおっしゃっていました。
そして、グラフ10月号の「トークDX」では、れいちゃんが「ちょっと見え過ぎなのかなぁ~。舞台写真を見て自分でもビックリした。でも見ていただいて大丈夫です(笑)。チケット代には含まれているので。」と
東京公演へ行ったら、しっかりと見せていただきたいと思います。
藤尾(美羽愛さん)に抱きつかれるところとか、お春ちゃん(星風まどかさん)とおとみちゃん(星空美咲さん)に挟まれているところとか、れいちゃんは本当にコメディーセンスあるなあと思います。そして笑いを取る場面がどんどん増えていったように感じました。
特に、おとみちゃんの誕生祝いに連行されるシーンは、すごく楽しみにするように
最初の方は渋々ながらあっさり連れて行かれていたのが、しがみついたり、斜めになったり・・・
千秋楽近くには、笑いと共に引っ込みで拍手がおこり、感動しました。
客席降りのドキドキ、二人傘のお春ちゃんに向ける視線、プロローグの艶めかしさ、フィナーレの下駄ップ・・・まだまだ書きたいことはありますが、いつもながら、れいちゃんのことだけで長くなってしまったので、この辺りにしたいと思います。
れいざ様、本当に格好良くて、可愛げがあって、いい男です。
お春(星風まどかさん)
可愛くて、表情豊かで、生き生きしていたまどかちゃんのお春。
着物も髷もよく似合い、とても魅力的でした。
小柳先生も「当たり役」とおっしゃっていましたが、観劇された方の中でも「今までで一番好き」というような感想を目にしました。
わたしは花組に来てからのまどかちゃんしか知らないのですが、本当に、お春ちゃんは、まどかちゃんによく合っていると思います。
初日から、まどかお春ちゃんの可愛さ炸裂で、「ちぇ」はとても印象に残りました。
おとみちゃんとのバトルは、この作品の見せ場のひとつだと思うのですが、毎回期待を裏切らない楽しさ。
公演を重ねる毎に元気が増していったように感じたのですが、同時に切なさとかやるせなさも感じさせたように思います。
お春ちゃんの大団円での台詞も最初唐突な感じがしたのですが、公演終盤ではすごく心がこもっているように感じました。
公演が始まる前から、まどかちゃんにどこか吹っ切れたものを感じていました。
東京公演ではさらに表情豊かで、元気ハツラツということなので、拝見するのが楽しみです。
峰沢丹波守(永久輝せあさん)
こちらも本当にチャーミングだった、ひとこちゃん(永久輝せあさん)のお殿様
骨董集めにうつつを抜かし、藩政はほったらかしという方で、小柳先生も、「歌劇」や公演プログラムで「バカ殿」と
初日こそまだ少し大人しい感じがしたのですが、すぐにはじけて絶好調に。
NOW ON STAGEなどによると、殿は女好きというより「丸みフェチ」なのだとのこと。
たしかに、ナウオンを見る前から、殿の女の人への関心は骨董品を愛でる感覚なのかなあ、と感じていました。
ちなみに、原作映画の峰沢丹波守は、お春ちゃんの前におとみちゃんに目を付け、城に上がらせようとしたと思います。
ナウオンの影響もあって、公演途中から、殿がすごくロマンチストのように思えてきました。
「第四場B 花咲城・広間」の「青葉の笛」の場面では、遙かなロマンを夢見ているような、ひとこちゃんの瞳がとても印象的でした。
家臣たちとの掛け合いもとても楽しくて大好きです。
おとみ(星空美咲さん)
初日からすごくインパクトがあった、みさきちゃん(星空美咲さん)のおとみ
彼女が取り巻き連中を引き連れて登場するとワクワクしました。
おとみちゃんはかなりわがままで強引な行動を取るのですが、どこか可愛くて、憎めません。
着物もよく似合っていたし、大店のお嬢さんらしさも出ていたように思います。
公演後半には、日によってお芝居が変化していて、毎回とても楽しかったです。
秀千代(聖乃あすかさん)
峰沢丹波守の弟で、何かあると「イヤじゃ、イヤじゃ」と全身でイヤイヤをする姿が可笑しくてかわいい秀千代君。
花咲藩の藩政が心配になる兄弟なのですが、秀千代君は意外と生活力がありそうだと思いました。
藤尾LOVEなのですが、ナウオンによると、秀千代君も丸みフェチだとか(おじゃる丸というワードも出てきました)
この役も魅力的にみせるのはなかなか難しいところがあると思うのですが、ほのかちゃん(聖乃あすかさん)は、持ち前の華と上品さを生かして、面白さの中に若君らしさを出していたと思います。
空丸(美空真瑠さん)とのコンビネーションも楽しかったです。
藤尾(美羽愛さん)
親同士が決めた、礼三郎さんの許嫁という設定の藤尾
原作映画の藤尾は、もっとしっとりした感じで、新人公演のはづきちゃん(七彩はづきさん)の方がイメージに合う感じがしましたが、あわちゃん(美羽愛さん)も自分の個性に合った役作りで、とても楽しかったです。
特に「第三場 長屋」の場面が大好きで、礼三郎役のれいちゃんと満右衛門役のあかさん(綺城ひか理さん)の好演もあって、毎回楽しんで観ていました。
父親の満右衛門にけしかけられ、あわちゃん藤尾は、三つ指ついてから、けっこう大胆に礼三郎さんに抱きついていくのですが、公演後半は「えいっ」などと掛け声もかけて、タックルのようでした。
最後に、お春ちゃんとおとみちゃんと3人で仲直りして、ほのぼのしました。(3人娘みんなかわいい)
長くなってきたので、いったんここで切ります。