きのうは、『銀ちゃんの恋~銀ちゃん、本日も反省の色なし~』の大千秋楽のライブ配信を観ました。
とても良かったです。
本当に観てよかったと思いました。
こちらに書いたように、これまでにわたしが観た『銀ちゃんの恋』は、初演の久世星佳さんのビデオの映像でした。
当時月組ファンだったので、楽しんで観ましたが、それほどハマることなく、あまり繰り返して観ることもなかったように思います。
でも、今回の『銀ちゃんの恋』には、自分でも意外なほど泣いてしまいました。
わたしが年をとって、涙腺が弱くなっていることもあるかもしれませんが、心に沁みたことは確かです。
マイティー(水美舞斗さん)の銀ちゃん、すばらしかったです。
まず、土方歳三の扮装で出てきたときの格好良さに、目を奪われました。
マイティーってやっぱり綺麗だと思ったし、立ち回りも素敵でした。
普段の銀ちゃんは、やっていることはひどいし、弱い人なのだと思うけれど、銀幕のスターたる倉丘銀四郎は違います。
ヤスをはじめ、みんなが惹かれてしまう魅力が、なんとなくわかったように思いました。
クライマックスの「池田屋階段落ち」のシーンの、マイティー銀ちゃんの凄みと気迫もすばらしかったです。
階段落ちに命をかけたヤスに応えるように、銀ちゃんも命をかけている、と思いました。
マイティーの銀ちゃんは、ちょっと黄昏れてきたスターの悲哀というより、うまく人と折り合えない人間の悲しみを感じました。
そんな銀ちゃんだからこそ、ヤスへの気持ちが胸を打ち、わたしは大泣きしてしまったのだと思います。
マイティー主演で『銀ちゃんの恋』をやると聞いた時、合うかどうか、ちょっと心配したのですけど、杞憂でした。
マイティーの美しさや優しさ(この役では表に出てこないけれど)が、この作品にうまく作用して、宝塚的な魅力のある舞台になっていたと思います。
ヤスは、つかさくん(飛龍つかささん)、こちらもすばらしかったです。
ヤスは『銀ちゃんの恋』の裏の主役というか、銀ちゃんとヤスは一体の存在だと思います。
つかさくんには合うだろうと思っていましたが、思っていた以上の好演でした。
ヤスの三枚目ぶりや情けなさも自然に演じていたと思いますが、やはり階段落ちの場面が心に残ります。
階段落ち前後のお芝居はもちろん、マイティー銀ちゃんと背中合わせになるシーンなど、ハッとしました。
ヤスの存在を大きく美しく感じさせたと思います。
小夏は、みさきちゃん(星空美咲さん)。
研3のみさきちゃんが、年齢的に旬を過ぎ落ち目の女優を演じて、違和感がなかったのだから、それだけでもすごいと思います。
特に二幕は小夏の心情が十分伝わってきました。
少し華やかさが足りない気もしましたが、スタイルも良く、歌もお上手な方ですので、これからますます楽しみです。
銀ちゃんと張り合う橘役に、ホッティー(帆純まひろさん)。
橘は上り調子のスターだけれど小物感もあるという、おもしろい役どころ。
ホッティー橘が出てくると華やかさと楽しさがあったし、彼もまた映画を愛しているということがちゃんと伝わってきて、とても魅力的でした。
この作品は、お芝居好きにはうれしいだろうなと思う役がいっぱいあります。
わたしも、花組でお馴染みの顔が見えるたび、手を振りたいような、うれしい気持ちになりました。
一人一人書いていきたいのですが、あまりに長くなるので、サラッと。
第一場でいきなりキョンさん(航琉ひびきさん)が出てきて、うれしい驚きでした。
キョンさんを見るとなぜか安心するのです。
専務という役でしたが、きょんさんらしいあたたかさがありました。
同じく、いきなり登場の秘書〈中山〉のあおいさん(美風舞良さん)。芸達者ぶりを発揮していたと思います。
組替えしていきなり副組長は大変だろうと思っていたのですが、何の心配もなさそうです。
専科から、いっちゃんさん(京三紗さん)とまりんさん(悠真倫さん)が出演されていました。
いっちゃんさんは、ヤスのおかあさん。出番は短いけれど、切ない心情を表現。
さすがの台詞回しと存在感でした。
まりんさん(悠真倫さん)は、大道寺監督とヤスの故郷の自治会長を演じ、大活躍。
まりんさんの監督を楽しみにしていましたが、やっぱりよかったです。
ふつうのオッサンっぽい感じと不思議な迫力が入り混じり、説得力がありました。
銀ちゃんの子分の大部屋役者では、トメ役のとわくん(峰果とわさん)がよかった。
とわくんは、いつも、出る場面をピリリと引き締めてくれるように思うのですが、この作品では、人の良さをにじませ、なんだかほっこりしました。
子分では、ジミー役のだいやくん(侑輝大弥さん)も目立っていました。
ちょっと女の子っぽい役だと思うのですけれど、強調しすぎず、いい感じでした。
朋子役のことかちゃん(都姫ここさん)、かわいかったです。
時田カメラマン役のまいこつさん(紅羽真希さん)。この方もお顔が見えると安心します。
鈴木助監督のらいとくん(希波らいとさん)。普通の若者っぽい感じでしたが、垣間見える真剣さがよかったです。
他の方たちもいろいろと細かいお芝居をしているようで、映像の場面からも、生き生きした舞台の様子がうかがえました。
8月16日から24日までKAAT神奈川芸術劇場で、9月2日から10日まで梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで、公演されました。
きのうは大千秋楽で、カーテンコールで出演者一人一人が紹介されるなど、感動的でした。
全日程休演したことのちゃん(朝葉ことのさん)のことも、マイティーが「ことのもいます。」と紹介
。
感染状況が大変厳しい時期での上演となり、本当に大変だったと思います。
マイティーが、最後に緞帳前に出てきてくれた時、「やっと今日眠れそうです。」と言っていました。
千秋楽では、声も少しハスキーでした。
全日程無事公演できて、本当によかった。
あらためて、おめでとうございます。
次は、大劇場公演ですね。
ことのちゃんを含めた花組生全員にお会いできますように。

