れいちゃん(柚香光さん)の出演作を、初舞台からたどっています。
『愛のプレリュード』は、2011年2月4日から3月7日まで宝塚大劇場で、3月25日から4月24日まで東京宝塚劇場で上演されました。併演は『Le Paradis!!-聖なる時間-』。
この年の3月11日に、あの東日本大震災が起こりました。
わたしは、当時宝塚から遠ざかっていた時期でもあり、歌劇団が受けた影響などについて知ったのは後日の事です。
宝塚歌劇団は、東京でのいくつかの公演が休演等となり、未曾有の大災害ということで、今後の公演の実施については、いろいろな意見や葛藤があったとのことでした。
花組生たちも、全員で何日も話し合ったそうです。
結果、東京公演は予定どおり上演され、終演後には、毎日、生徒さんたちが交代で募金箱を持ち、募金活動をされたそうです。
この公演は、トップスター真飛聖さんの退団公演でした。
3月11日は、真飛さんの退団前のディナーショーの最中。
そんな中、真飛さんは、毎日、募金活動のためロビーに立たれていたそうです。
このことについては、たそさん(天真みちるさん)のご本にも書かれていました。実際に劇団の中で体験した当時の様子、そして、間近でご覧になっていた真飛さんの姿が書かれていて、感動的でした
この公演当時、れいちゃんは研2の終わりから研3はじめにかけて。
たそさんと同じく、ごく間近で真飛さんの姿をご覧になっていたことでしょう。
このときの経験と思いは、きっと生かされたと思います。
映像で観た東京公演千秋楽の、真飛さんはじめ退団される方々のご挨拶には、いつにも増して、特別な思いが溢れているように感じました。
感動的な千秋楽でしたが、2年ほど前に初めてスカイステージの放送で、この作品を観た時は、あまり面白くなかったのです。
今回、いろいろなことを知った上で観てみると、泣けてしまいます。
ストーリーは、相変わらず、とっちらかっている印象でしたが…(^_^;)。
どこかで見たようなエピソードがいっぱいで、それがつながっていかずに、唐突に出てくる感じを受けました。
せめて、ナチスドイツを出さなかったら、もう少しまとまったのではないかと…。
それでも、泣けてしまうのは、真飛さんの退団公演であり、出演者の方たちの熱演があったからだと思います。
ストーリーにはあまり感動しませんでしたが、出演者の方には感動しました。
『愛のプレリュード』の作・演出は、鈴木圭先生。
この作品が、大劇場デビュー作ですが、同時にトップスターの退団公演でもあるというのは、めったにないことだと思います。
『歌劇』2011年2月号に、この作品の座談会が載っているのですが、それによると、鈴木先生は、“以前から、真飛さん率いる今の花組でぜひ作品を担当したいという熱い思いを話されていた”そうです。
残念ながら、この作品は、あまり評判がよろしくなかったようですが、真飛さんに向けての熱い思いは、確かにあったような気がしました。
今回、以前にスカイステージで放送された、宝塚大劇場版、宝塚千秋楽版、東京公演千秋楽版と観たのですが、退団公演という思いとか、お別れの雰囲気は十分出ていたと思います。
以下、内容に触れる部分がありますので、知りたくない方はご注意下さい。
真飛さんは、スーツがよく似合い、持ち味のあたたかな魅力がでていて、銀橋を渡りながら歌うシーンなどは、これまでの思いが溢れているようで、とてもよかったです。
ラスト近く、蘭乃はなさん演じるキャシーに自分の帽子をかぶせて、去って行くシーンがとても好きです。
帽子のつばをちょっと直してあげて、その流れで蘭乃キャシーの涙を指でぬぐい、ちょっとおどけたような笑顔を見せて、頷いて、去って行く。
わたしが観た3つの映像でも、真飛さんの動作は微妙に違っていて、東京公演千秋楽では、涙はぬぐわなかったように思うのですが、どのときもとても自然で、あたたかくて、何とも言えない魅力がありました。
壮一帆さんも、スーツ姿がかっこよくて、歌声も素敵でした。
演じるジョセフは複雑すぎる設定で、大変だったのではないかと思うのですが、銀橋で、真飛フレディーと話すところなど、見せ場はたっぷりありました。
真飛さん(と蘭乃はなさん)をかばって撃たれ、真飛さんに抱かれて亡くなり、その後は、スモークの中に再登場して振り返りからの笑顔を見せて、真飛さんと二人で踊る…相手役さんのようでした。
蘭乃さんは、幼い役どころのせいか、最初ヒステリックな感じがしたのですが、だんだん可愛く思えてきました。
最後はあれほど絶叫しない方がよいのではないかとも思いましたが、演出によるものかもしれません。
蘭乃さんも涙を流しての熱演でした。
この作品は、役名はけっこうあるのですが、主役3人以外では、しどころのある役が少ないように感じました。
男役スーツ祭りで、時々見えるあきらくん(瀬戸かずやさん)もすごくかっこよかったです。
あきらくんはセリフもあって、うれしかった
。
いつものように、れいちゃんが出演している場面を中心に書いていきます。
第2場 サンタモニカの街中
真飛さん演じるフレディーがせり上がり、歌いながら銀橋を渡ります。
舞台上では、入れ替わりつつであっても、花組生が全員出ているのではないでしょうか。
真飛さんの思い、花組の組子たちの思いが溢れているようで、涙が出ました。
れいちゃんは街の男として出ていますが、はっきりとはわからなかったです。
第4場 キャシーの屋敷(居間)
れいちゃんは執事のうちの一人です。
このお屋敷には、執事長と6人の執事がいるのですが、6人の方はあまり執事っぽくない感じがしました。
わたしは、あまり詳しくはないのですが、真野すがたさん演じる執事長のアレンが執事で、れいちゃんたちは、執事というより、従僕(フットマンにあたるくらいの)という感じがしました。
れいちゃん執事は、この場面では、下手にいて、ドアを開けたりしていると思います。
第7場B サンタモニカ(過去)
フレディーとジョセフの過去の回想シーンです。
れいちゃんはコロス(風)
このコロスは、黒ずくめで、ダークな雰囲気。ちょっと死や影を連想させる存在です。
この場面では、帽子をかぶり、密輸組織の残党ということになっています。
わかりにくいですが、ちらりとお顔が見えるときもありました。
第14場 キャシーの屋敷
れいちゃんは執事。
このシーンが一番映っていたと思います。
他の執事の方やメイドさんたちと楽しそうに踊っています
。
なかなか表情豊かでした。
第16場 発明完成披露パーティー
れいちゃんは執事。
あまり映っていないように思いますが、パーティーの幕開けの場面で、下手で並んでいると思います。
第18場A 研究所前
れいちゃんはコロス(風)。
はっきりとは映りませんが、この場面では、帽子をかぶっていないので、第7場よりわかりやすかったです。
まだセリフはないし、画面に映ることも少ないのですが、ますますすっきりして、男役さんらしくなってきた感じがしました。
※ れいちゃんの出演作を初舞台からたどっているのですが、整理するため、テーマに枝番をつけ、『柚香光出演作をたどる』としました。
関連した過去記事のテーマも変えますので、よろしくお願いします。


