備前焼の酒器に注がれた〆張り鶴を飲み干し目を閉じる




胃の奥のシコリがゆっくりと溶けていく



至福のひと時




目を開けるとヒトミが微笑みながら、オレを見ていた




……ま いいか




「ホント美味しそうに飲むわね」



「美味い酒に美味い料理
人生における快楽の半分はこの店で手に入るな」




「お望みなら残りの半分も手に入るわよ」




…おいおいオッサン




「同じ半分でも、オレは反対側の方だよ」



「コッチ側に来るのを気長に待ってるわ」



「その時はヒトミにオレの師匠を務めてもらうよ」



「まあ!オカマ喜ばせてナニ企んでるの?」




男だろうがオンナだろうが、オカマだろうが


気の合う友人というのは人生の財産だ




人間の中身は外見や性的嗜好とは関係ない



こんな当たり前のコトをヒトミは再認識させてくれる



この40手前のオカマは、オレの数少ない大切な友人なのだ



(この章続く)