
昨日、訃報が報じられた佐々淳行氏。
東大卒業後に現警察庁に入り、「東大安田講堂事件」「あさま山荘事件」などで現場指揮に当たり、その後1986年に初代内閣安全保障室長に就任、退任後も著作やコメンテーターなどの立場等を通して日本の危機管理に長年貢献。ミスター危機管理とも呼ばれていました。
御冥福をお祈り致します。
その佐々氏、若い頃に警察からの出向で在香港日本総領事館に領事として駐在された時期があり、その頃を振り返って執筆されたこの本。
佐々氏が遭遇した大事件はもとより、当時の香港の生活や時代背景が興味深かったです。
手元に本がないので正確な記述は忘れましたが、、
佐々氏赴任の1960年代後半、中国は文化大革命の真っ只中で、香港でも暴動頻発、時には爆弾テロも起こっていた頃。
水不足で断水が続いたり、香港島ミッドレベル辺りが大雨で大規模山崩を起こしたり。
この前のスーパー台風山竹(マンクット)で、香港は一人の死者も出さなかったのは、現在はインフラが行き届いているからで、こういう過去の災害の経験も生かされてるんでしょう。
交通面は、ビクトリアハーバーを挟んだ香港島と九龍半島間の交通手段は船のみ。
香港島から九龍へ(或いはその逆)海を越えて飲みに出かけて帰るのが遅くなると、船の運行時間外となり九龍半島(或いは香港島)に泊まるしかなかったとか。

あと、本の中で香港政庁のお役人が何人も登場するけど、植民地だから当然ながら皆イギリス人なんですよね。
ほかに、ストーンカッターズ島(昂船洲、現在は埋立で九龍半島と陸続き)辺りで、旧日本海軍兵士の遺骨収集作業を行った話とか。
こういうの知らなかった自分が恥ずかしいです。

当時は土地を掘り返すと白骨がよく出てきて、その度に日本兵に殺された香港人の骨だと民衆が騒いでいたとか。
今でも戦時中の不発弾が地中から出ますが、当時は白骨が出てたんですね。。
ほかに、スタンレー刑務所は戦後、日本の軍人が戦犯として処刑された場所でもある事をこの本で知りました。
逆に、今もそうだよなぁと思う事も。
赴任時のフライトが、現在も存在するフライトナンバーとか。
当地病院での出産費用Delivery feeを配達費用と間違えた話とか。
あるある、です。
そんな感じで、半世紀前の話なのに生き生きとした描写により身近な事として感じられ面白かった。
尚、奥様はなんて優秀で、しかも出来た人なんだろうと尊敬していたところ、数年前に雑誌で色々ぶっちゃけ、ご主人に三行半を叩き付けていらっしゃるんですね。。ちょっと安心しました(x_x) ☆\( ̄ ̄*)
改めて御冥福をお祈りします。
最後までご覧頂きありがとうございました