ごきげんよう。栗毛馬です。
数ヵ月前のこと。
乗換駅から電車に乗って、私はハッとしました。
座席に腰かけている高齢のご婦人の首元のスカーフ。
どうも、エルメスな気がする…。
ご婦人が舟をこいでいるのをいいことに、こっそり観察。
あ、やっぱりそうだ。秒で確信しました。
エルメス判定した理由は3点。
- ルロタージュ
- 柄
- 織りの入った生地
カレ90、「帝王学」に違いない。
うん、やっぱりこういう、流れのある柄はいいなぁ…。
バイアス折りにしたのを首から掛けてちょいと覗かせるだけで、素敵な感じ。
こちらは現在販売されていないカレなのに、なぜ瞬時にカレの名称までわかったか?
それは、その当時、「帝王学」がとても気になっていて、日に何度も二次流通のサイトを見ていたからです。
だから、色は違えどすぐにわかった。
購入検討しているものと同じカレが目の前に…!
なんたる僥倖。
あらためてじっくり見ると、新しいものではないはずなのに、スカーフはとてもきれい。
色は鮮やかだし、擦れもなく、ふっくら。くたびれ感は見て取れません。
私は妄想しました。
もしかしたらこのカレは、還暦のお祝いに子供たちからもらったものなのではないかな…。
普段は大事にしまってあって、特別な時に取り出してまとうのだろう。
特別な日の、特別なカレ。
鏡の前でさっと巻き、
「よし!」
とにっこり。
いいなぁ…。
お召し物は、カジュアルな上衣に、ニット。パンツに、歩きやすそうなスニーカー。
お友達との散策の帰りかな?
色もアイテムも、コーディネートのバランスから言えばベストではないチョイスだけど、不思議なほど素敵に見えたのは、たぶん背景の物語が透けて見えたから。
物語を紡ぎだす、エルメスのカレ…。
ちなみに、検討していたカレは、迷っているうちに売れてしまいました…。