ごきげんよう。栗毛馬です。
春の彼岸。
巖邑堂の『おはぎ』を買いました…!
半殺しにしたもち米をあんこでくるんだお菓子を、季節の花になぞらえて春は『ぼたもち』秋は『おはぎ』といいますが、巖邑堂は春でも『おはぎ』。
なんでかな…?
ぼたもち、という美しからぬ響きのせいでしょうか。
だったらうれしい。
家でも、長年春と秋に作り続けてきて、同じ理由でいつでも『おはぎ』と呼んでいましたから。
ご覧ください、この美しさ…!
左がつぶあん、右がこしあん。
小ぶりで、端正な姿。
このつや。つるつる感。
物騒ですが、まるで爆弾のようではないですか…!
チョコレートじゃあるまいし、あんこでこんなにも艶がでるものなのでしょうか?
ただならぬ美しさ。
姿勢を正して、こしあんの方からいただきます。
おっ…。
これは。
これまで食べたことのないおはぎです。
ねっとりしてコクがあるのに涼やか。
すぅっと溶ける、後口のよさ。
えっ、あんこってこんな風になるの?
なめらかすぎるほどのなめらかさ。
どれほど目の細かいこしきを使っているのだろう?
とても柔らかく調製されたようかんのような…。そんなあんこです。
それに、このつや。
寒天でも入っているのかしら…と確認しましたが、原材料は、もちごめ・砂糖・あずき・塩のみの潔さ。
柔らかでみずみずしいのに水っぽくない。
これほど柔らかいあんこを、こんなに美しく丸めるのが、どれほど大変か…!
もち米の半殺し具合もほどよく、美味。
これは、おはぎというより和菓子だな…。
次、つぶあん。
こしあんに比べて、ぐっと素朴になります。
あ、この系統なら知っている。おはぎだ!という感じ。
ちょっとほくほくして、豆の香りも楽しめる。
甘さは、こしあんより控えめ。
こしあんよりも、親しみやすい印象です。おいしい。
瞬く間に食べ終えて、皿に残ったあんこをきれいにきれいにこそげとりつつ、私はあっと思いました。
こしあんのおはぎが何かに似ていると思ったら、エルメスのカレだ!
素晴らしい光沢、恐るべきなめらかさ。うっとりするような手触り。
身にまとう芸術品。
そう、この美しさはカレに似ている。
並べて写真撮影しなかったことが悔やまれます。