ごきげんよう。栗毛馬です。
昨日の話の続きです。
みはしさんの持ち帰り用あんみつの賞味期限は、当日を入れて3日。
いくらおいしくても、一日に二杯ものあんみつを食べるのはさすがに憚られます。
ぐっと我慢し、翌日昼にいただきました。
確認したいのは、
お店で食べたのと遜色なくおいしいか
ということ。
そうとわかれば、店で食べるために待たなくてもいいわけですから。
わあ、きれいなあんず色!
オレンジ色でもみかん色でもなく、「あんず色」としか表現しようのない色。
なんておいしそうな…。
さあ、盛り付けです。
まず、寒天の水気を切ります。
そんなに大量の水分が出ているわけではないですが、味がぼやけてしまうから、多少面倒でもやはり水気は切った方がいいと思います。
赤エンドウ豆、果物、あんこ、求肥を順次載せていきます。
できあがり!
私はこのように美しく盛り付けましたが、食いしん坊な老婦人は気が逸るあまり雑に作業したらしく、ちっとも美しくない仕上がりに。
スプーンの跡がついてささくれ立ったあんこ、単にぶちまけられただけみたいな果物と求肥。
まー、なんてこと!せっかくの杏あんみつが台無しです。
「あら、ずいぶん乱れてるね」
と指摘したら、
「えっ?」
とびっくり顔の老婦人、指先についたあんこをぺろり。
どうやら、今日の老婦人からは「盛り付けを美しく」と言う意識がスッポリ欠落していた模様(いつもはそんなことないのですが)。
「見てごらん、私のはこんなに美しいよ!」
自慢したら、
「あら!」
反省して、修正を試みていましたが、今さらどうしようもないようでした。
では、杏あんみつ、いただきます。
別添の蜜を掛ける前に、それぞれの味を見ていきます。
寒天。豆。あんこ。求肥。
驚いたことに、前日にお店でいただいたものと、全く遜色ありません!
さすがに、求肥はほんの少しだけ硬くなってしまっていたけれど(それでも十分にふわふわもっちり夢の味)、それはきっと時間が経ってしまったから。
買ったその日に食べれば、お店と全く同じ味が楽しめたことだろうと思います。
つややかで肉厚なあんずをひとかじり。
ドライあんずをちょっと蜜漬けにしたと思しきあんずは、ジューシーさと噛み応えのある食感がすばらしい。
香り高く、甘酸っぱく…。あんずって、おいしいんだよね…。
では、満を持して蜜を投入。
別添容器にたっぷり入ったものを、まずは半分ほど。甘くなりすぎてもな…と思いまして。
トッピングの独立性を尊重したいから、上からダバーとは掛けず、鉢の横ちょからタラタラっと。
あんこ全部が蜜味になってしまうのはつまらないし、あんずやみかんの美しい色を損ないたくない。
ましてや、気高く白い求肥を茶色く染めるなんて、言語道断!
寒天と豆だけを目掛けて、注意して掛け回しました。
ふたすくいほど食べて気づいたのは、「蜜はさっさと全部掛けた方がいいらしい」ということ。
そして、残り全部をだあっと掛けていただいたあんみつの、なんておいしいこと!
みはしのあんみつのこの完成度ったら。素晴らしい。
まさに交響曲です。
もりもりと食べ進んだ、終盤。
この段階では、ほとんどすべての具材が蜜の海に浸かり、鉢内は混沌としています。
溶けたあんこが蜜の濃度を増し、果物が蜜の衣をまとい、求肥が粉を散らし…。
なんの気なしに、あんず付近の蜜と寒天をすくい取って食べて、驚きました。
蜜がとってもフルーティー…!
あんずの香りが蜜に移って、素晴らしい味わいを醸し出していたのでした。
格別のおいしさです。
ははあ、これが杏あんみつというものか…!
これは、食べ方を誤ったかもしれない。
求肥とあんこ、みかんはともかく、あんず3枚のうち2枚だけは、早い段階で蜜浸けにしておくべきだったなぁ…。
そうしたらあんずの香りが全体に移って、「杏あんみつならでは」のおいしさを堪能できたろうに。
「あんみつ+あんずトッピング」の食べ方が悪いわけではないけれど、せっかくの「杏あんみつ」なのだから、その個性を目一杯活かす食べ方をすべきだったろう。
自らの不明を呪いましたが、今さらどうしようもないのでした。
次に杏あんみつを食べるときは、きっとそうしよう。
決意新たに、最後のひとしずくまでおいしくいただきました。
これで、税込580円。
申し訳なくなるほどのお安さなのでした。