ごきげんよう。栗毛馬です。

 

先日、エルメス店舗へ伺った際、思いもかけないものをご紹介いただきました。

 

あ、もちろんバッグではないですよ。

ポンチョです。

 

どうやら、前回訪店したとき、「端境期などに羽織れる、軽めのコートのようなものを探しています」とお伝えしたことを覚えていらっしゃり、ご提案くださったよう。

覚えててくださったなんて、何と光栄な…!

 

私はすっかり舞い上がり、ポンチョに興味はなかったのに、つい試着させていただくことにしてしまいました。

 

ポンチョって、素敵ですが…、素敵だからこそ、庶民が着るシーンを思い描くのは難しい。

 

エルメス上級者の、富豪の方専用という感じがします。

電車には絶対に乗らない方です。

移動は、車のみ。暖房の効いた室内から暖房の効いた車へ、それから暖房の効いた店内へ。

 

寒風に身を晒すことなど決してない方が、ちょっとした防寒のためにさっとお召しになるイメージです。

優雅に弧を描く裾、軽やかな足取り。ああ、素敵!

 

と、このように私には縁もゆかりもないポンチョですが…。

 

着てみましたら、とても素敵でした!

ウールとカシミアの混紡生地は、たっぷりとしてふわふわ。結構な分量なのに重さを感じさせないのはさすがです。

縁には幅広のレザーでパイピングが施され、ハンドステッチと思しき縫い目が美しい。

 

何より、その着心地!

いや、着心地という表現は当たっていませんね。抱かれ心地、の方が近いです。

優しく肩を抱かれ、腰の辺りまでをふんわりと包み込まれるこの安心感ときたら。

カシシルでも味わうことのできる感覚ですが、次元が違います。

 

それに、ポンチョって体をとても華奢に見せてくれるのですね。

 

鏡に映った姿はマイナス5キロくらいに見え、どことなく寄る辺ない。

ふと、心細く、迷子の子供のような心持ちになったところに、ポンチョ。

それは、圧倒的な存在感で、あらゆるものから守ってくれるかのような安心感をもたらしてくれるのでした。

なんだろう、この落ち着きは…!

私は恍惚となりました。

 

買う気なんか全くなかったくせに(いつ使うわけ?クリーニングはどうするの?)、猛烈に欲しくなり、お値段を伺ってみると…。

到底買えない金額だったのでした。

うろ覚えですが、50万近かったような。

 

もちろん購入せず、丁重にお礼を述べ、ふわふわした気分のまま店を出たのでした。

 

帰宅してから。

買えないけれど、もう一度あのポンチョが見たくて、海外オンラインも含めて探したけど、該当のものは見つかりませんでした。


乗馬用でもプレタでもなく、スカーフのラインのポンチョとおっしゃっていましたが、完全に守備範囲外のお品で不勉強につき、詳細はよくわかりません。


こんな感じだったでしょうか…。

記憶がおぼろで、全然違っていたら申し訳ないないです。