名画だからといって感動するわけではない | 西洋美術の楽しみ方_ルーブルの魔女からの伝言

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絵画鑑賞をもっと楽しく!絵の意味が分かる!

 

いわゆる「名画」と呼ばれるものは、

 

感動するから「名画」なのではありません。

 



個人の感覚は、人それぞれ違うので、

 

誰もが同じ作品に感動できるわけではないのです。
 


 

 

 

 

 

 

 

さらに言えば

同じ人でも、状況によって

 

同じ作品に心が動くとは限りません。



そもそも、見たら必ず感動できる作品なんて

 

存在しないのです。






だから、例えば、


世界的名画といわれる「モナリザ」を見て、

 

何も感じなかったとしても、

 

特に不思議はなく、むしろ当然。




名画といわれる作品を見て、何も感じないあなたに

芸術的な感性が欠けている・・・とか

 

そういうことではありません。






一般的に、美術史上で「名画」と評される絵画作品は


・その時代の役割において特別な意義がある

・後世の芸術家に多大なる影響を及ぼしている

・ある画家の画業において、転換ポイントとなった作品である



このあたりが、主な理由になっていることが多いです。





つまり、見てキレイとか、心が揺さぶられるとか、

そういう感覚的なものではなく、


客観的に、名画たる所以を

 

言葉で表現できることがほとんどです。



 

 

 

名画は、名画として生まれるのではなく


歴史によって、「名画」になります。

 

 

 

 

 ※モナリザ展示室の様子(ルーヴル美術館)

 感動している人は、たぶん、ほとんどいないと思う・・・

 

 

 

 

 

 


「モナリザ」を例に挙げるならば、


・技法「スフマート」による人物の表現


・空気遠近法の確立


などの技術的な面もさることながら、




・ある個人の肖像画であるにも関わらず、

 人間一般をテーマにしたかのような普遍性

 


・人物と背景の関連性の希薄さ

 


・ポーズ(手の置き方など)、髪型、衣装の不自然さ

 


・画家とモデルの関係

 

 


などなど(他にも多数)








技術的には、ある意味、

 

肖像画としての表現の頂点を、

 

1500年代初頭にして極めてしまった作品であり、





且つ、その後、現在に至るまで
 

多くの画家・芸術家に

 

インスピレーションを与え続けている作品でもあり、




しかも、

 

作品制作の過程においては謎が多く

 

未だに研究の余地が絶えないことから、



 人類の宝 = 名画


という位置付けになっているのだ・・・



と、私は考えます。







他にも、有名な絵画で、

 

いわゆる「名画」と称される作品には



それなりの経緯・事情があって、

 

そのいずれも、言葉で説明することが可能です。

 

 

 

 

 


歴史に残る作品である以上

結果的に、その作品を見て感動する人は

 

後を断たないかもしれませんが、

 

 

 

 

順序として、

 

「感動するから名画」ではないことは

 

お分かりいただけると思います。











西洋美術史は、美術の「歴史」です。


・・であるからには、歴史全体の流れの中で、




ある作品・ある画家が

 

どんなポジションにあるのかを捉えることが

 

必要になってきます。




「名画」判定も、その上で養われる視点なのです。

 

 

 

 

 

 


 

 

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♡最後に補足
 

もちろん、美術史上の「名画」ではなく、

「私だけの名画」ということで


自分の好きな作品を、名画認定してもいいわけです。



それは、世間でいわれるところの「名画」とは

 

一致しないかもしれませんが、



実は、絵画鑑賞で最も楽しいのは、

自分だけの名画(お気に入り)を


見つけることだったりもします。



あなたにとっての 名画 は何ですか?






制作・講師:内田 ユミ

 

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