ルチアーノ・パバロッティをご存知でしょうか。

イタリアの有名なテノール歌手です。

 

大きな体に、右手に白いチーフを持った姿が印象的で、

伸びの良い清々しい声と多才な表現力でオペラ、コンサートで

人気を博した人でした。

 

スペインが生んだプラシド◦ドミンゴ、ホセ◦カレーラスとともに、

「3大テノール」と称して世界ツアーを行っていたこともありました。

 

 

昨日、相棒の実家からの帰り、車中で「パバロッティと仲間たち」コンサートの

ライブアルバムを聴きました。

 

パバロッティが英米のロック、ポップアーティストとコラボする企画。

相棒は「DUO」と言ってましたが、ほとんどの歌手とは声質が異なる歌手とは

噛み合わないので、アレンジを施してメロディーを交互に歌う形が多かったです。

 

Duet、Duoというのは、往往にして

メロディーラインに乗って二人でハモったりユニゾンで歌うものを言います。

 

そのアルバムで彼とDuoを完璧にこなしていたのはセリーヌ・ディオンでした。

これは本当に震えるぐらいかっこよかったです。

 

なぜ彼女はパバロッティとDuoできたのか、

それはセリーヌの発声と声域が関係してます。

 

最近ではパリオリンピックでの素晴らしいパフォーマンスが

世界の人々の心を揺がせたのが記憶に新しいですよね。

 

彼女もクラシック歌手と同様しっかり全身を使った発声をしているので

歌っている間もフレキシブルに体が動き、声質を変化させずに低音も高音も歌いこなします。

そして、さらに彼女はソプラノ高音域を得意とする歌い手ではないことで、

その声域がパバロッティのそれと合致して綺麗にハモります。

 

 

この後に、シェリル・クロウが綺麗で音程の良いソットボーチェ(裏声)で

パバロッティとモーツァルトを歌い、いつもの彼女の楽曲とは違うイメージで驚きました。

 

男性アーティストたちはそれぞれパバロッティとは違う発声基準の持ち主たちだったので、

メロディパートをそれぞれ数小節単位で引きつぐ形でした。

 

スティングが 「Panis Angelics」を歌うのは何か意味があったのかな、と思いましたが、

透明感のある彼の声は、パバロッティのラインを邪魔せず綺麗に流れていきました。

ラテン語の歌詞ですが、それほど難しくなく歌えるのでクリスマスなどでよく聞かれる曲です。

 

天使のパン、って曲だよ、と相棒に伝えると、

 

「でもパバロッティにとっては、ハモンが乗ったパンの方がいいだろうね」

 

(相棒はラテン語を知っていますし、関連した聖書の節はよく知っている上でのジョークですw。)

 

そして、一番度肝を抜いたのは、ブライアン・アダムスとの「オーソレミオ」。

これはパバロッティがガラコンサートでよく歌うイタリア歌曲の一つでした。

みんなよく知っている曲なので、毎回前奏が流れるとわーっと歓声が上がりました。

 

その極の冒頭をなんとブライアンから始めるところがなんともw。

 

けっぺら コーザ!

 

と始まったときに思わずシートからずり落ちそうになりました。w

しかし、そこがマエストロパバロッティ、いつもと違う表現を持って観客を楽しませました。

それによって、ブライアンとのコラボをより良く仕上げました。

 

「いやはや、ブライアン◦アダムスは勇敢だよね、大御所の十八番に挑んだんだから!」

 

と相棒。そういう意味では最優秀殊勲選手かもしれませんね。

 

10人ほどの「仲間たち」とのコラボ、どれもパバロッティは出突っ張りなのと、

それぞれ個性豊かなジャンルをこなした彼はすごいなぁと思いました。

 

これ、1990年代のツアーだったらしいので、YouTubeでは画像の良いものは

残っていないのですが、もしご興味がおありでしたら、

「Pavarotti and friends」「Pavarotti 〇〇(アーティストの名前)」で

検索するとすぐ出てきます。