12月20日(木)日本経済新聞の社会面の記事
心の病気で休職の従業員支援 職場復帰中小向け強化 
を興味深く読みました。

厚生労働省は、来年度予算の概算要求に「中小企業向けの職場復帰支援を強化する」関連事業費を盛り込みました。
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(佐藤より)
その背景には、大企業に比べて中小企業は社内の体制の整備(就業規則での明文化とその運用)が難しいという現状があります。

私が現在、メンタルヘルス研修やメンタルヘルス対策の支援で訪問する企業は中小企業です。従業員数は100人以下の企業が多数を占めています。
人事労務管理部門の担当者が多くの業務を兼任し、労務管理や手続き関連業務に社会保険労務士等が関与していない企業も目立ちます。その場合は、人事労務担当者が就業規則の整備に関して、労働関連法規の改正に対応し整備を進める必要に迫られます(10人以下の企業に管内監督署への就業規則の届出の義務はありません)。
実際に、うつ病などの心の病気で休職した従業員の企業の対応は、社内規定や書式が無い場合でも、担当者の過去の経験値で休職者ごとに対応を工夫されている様子が見られます。

それは、事例ごとに柔軟な対応である、とも見られます。しかし、もし担当者が変わった場合はどうでしょうか。
企業にとって、復職プログラムや社内規定の整備がされ、運用されることが、企業のリスクマネジメントにつながると、私は考えています。
厚生労働省のこの動きが多くの企業へ周知され、そのプログラム作成を支え、活用をサポートする体制が今後はさらに必要なのではないか、と感じています。

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(以下、12月20日(木)日本経済新聞の社会面(13面)の記事より引用)
厚労省は心の病気で休職した従業員の職場復帰に向け、①休職中のケア②主治医の職場復帰の判断③復帰計画の作成――などと段階を踏んだ支援が必要と想定。(中略)厚労省は今後、職場復帰支援の手続きを定めている実例を収集。専門家の意見を聞いたうえで、企業が社内規定に合わせて導入できるよう、規模や業種ごとに週種類のプログラム作成を目指す。プログラムは厚労省のメンタルヘルスに関するポータルサイトに掲載する予定。
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(佐藤より)
厚労省のメンタルヘルスに関するポータルサイト
をみなさまご存知ですか?

  こころの耳 
http://kokoro.mhlw.go.jp/
  働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
~心の健康確保と自殺や過労死などの予防~

メンタルヘルスに関することが総合的に検索できます。
私も様々な場面で多くの方々に「こころの耳」を紹介しています。
ぜひ、みなさまもご活用ください。
今日は、職場で起こりがちな光景を3つ挙げます。

「机の上に、書類を投げつけて大きな音を立てる(人がいる)」
「ロッカーの扉や机の引き出しを強く閉める(人がいる)」
「怒鳴りながら、業務の指示をする(人がいる)」

これらは、パワーハラスメントだと思われますか?

通常の範囲がどこまでで、どこからがパワハラなのか、線引きが難しいものです。

今年のメンタルヘルス研修では、「パワーハラスメントの事例検討」を研修の内容に入れて欲しい、と希望される企業が増えました。
その際は、職場で起こりがちな
ハラスメントでは、セクシュアルハラスメントが男女雇用機会均等法に規定があり、事業主が構ずべき措置に関して、指針が定められ、事業主が構ずべき措置に関して、具体的な内容が明示されています。
しかし、パワハラに関しては、法律の規定がありません。

そこで、厚生労働省の2つの経緯を紹介します。

①厚生労働省は、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」で次のように提案しました。(平成24年1月30日)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000021hkd.html
「職場のパワーハラスメント」とは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性(※)を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。
※ 上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して様々な優位性を背景に行われるものも含まれる。

そして、「職場のパワーハラスメントの行為類型」を以下のとおり報告しました(ただし、職場のパワーハラスメントのすべてを網羅するものではありません)。
類型 具体的行為
(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)
(2)精神的な攻撃(脅迫・暴言等)
(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
(5)過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

②厚生労働省平成24年3月15日に「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」を公表しました。 
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000025370.html

⇒「提言のポイント」を要約しました(佐藤)。

・組織で働くすべての人たちが「職場のパワーハラスメント」は、誰もが当事者となり得ることを、意識することが必要。
・「職場のパワーハラスメント」は許されない行為。放置すれば働く人の意欲を低下させ、時には命を危険にさらす場合がある。
・企業や労働組合は「職場のパワーハラスメント」の問題をなくすために取り組むと同時に職場の一人ひとりもそれぞれの立場から取り組むことが必要。
・トップマネジメントは、「職場のパワーハラスメント」の問題が生じない組織文化を育てるために、自ら範を示しながら、その姿勢を明確に示すなどの取組を行うべきである。
・上司は、自らがパワーハラスメントをしないことはもちろん、部下にもさせてはならない。ただし、必要な指導を適正に行うことまでためらってはならない。
・職場では、互いの価値観などの違いを認め、互いを受け止め、人格を尊重し合う。互いに理解し協力し合うため、適切にコミュニケーションを行うよう努力する。問題を見過ごさず、パワーハラスメントを受けた人を孤立させずに声をかけ合うなど、互いに支え合う。(☆)

(原文は厚生労働省HPをご参照ください)http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000025370.html
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(佐藤より)
上記提言のポイントの最後の部分(☆)に、職場のコミュニケーションの具体的な方策が書かれています。
私は、適切なコミュニケーション形成のために必要なことは、「コミュニケーションのトレーニングである」と、感じています。
コミュニケーションの良い職場環境づくりは、メンタルヘルス対策の重要課題の1つとも言えます。
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今年は「職場のメンタルヘルス研修」で「パワーハラスメント」に関する研修内容の要望が多い一年でした。

12月12日 厚生労働省の「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」の報告書が報道発表されました。

「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」
全国の企業・従業員を調査し、パワーハラスメントが発生する要因や予防・解決に向けた課題を検討~
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=182365

調査時期:2012年7月~9月
調査方法:アンケート
調査対象:企業、従業員 
企業調査は計4,580社、従業員調査は計9,000名から回答あり

 今回の調査結果から、パワーハラスメントの予防・解決への取組は、以下の3点を意識して進めることが重要であると言われています。
以下は調査結果を要約しました。(原文は厚生労働省HPをご参照ください) → 
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=182365

(1)企業全体の制度整備
 ・相談窓口が活用され、解決につなげるアクションを促すような仕組みづくりが必要。
 ・パワーハラスメントに関する研修制度の導入。
 ・就業規則などの社内規定にパワーハラスメント対策を盛り込む等
(2)職場環境の改善
 ・パワーハラスメントの実態を把握・解決につなげるアクションは、職場内のコミュニケーション活性化が課題である。
・パワーハラスメントが生じにくい環境整備。
・パワーハラスメントに関する相談がしやすい職場環境を作ること。
・職場における働き方の見直し(労働時間や業務上の負荷によりストレスが集中することのないよう配慮すること)
(3)職場におけるパワーハラスメントへの理解促進
・ 「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」をもとに、各企業は、自社の状況を踏まえ、労使の話し合いのもと、会社としてのパワーハラスメントについての考え方を整理し、職場においてパワーハラスメントの予防・解決への意識啓発を進めることが必要である。
・パワーハラスメントの予防・解決への取組を進め、従業員の関心が高め、しっかりと相談に対応していく中で、各種取組の効果が現れ、将来的にはパワーハラスメントをなくすことにつながると考えられる。

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(佐藤より)
実際にパワーハラスメントが起きている職場では、周囲の人は「見て見ない振り」をしていることが多い、という話を聴きます。
パワーハラスメントをしている人は、自分がパワーハラスメントをしていることに気が付いていないようです。
佐藤の個人的意見ですが、パワハラをしている本人にパワーハラスメントと業務上指導の違いと職場内のコミュニケーション方法について、学び・理解・訓練するための教育研修が必要だと考えています。
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