藤川は、長い歴史を誇る精神病理学を終わらせてしまった。
うつ病も統合失調症も神経症も人格障害もチックも抜毛症もADHDもASDも過食症も、その他さまざまな病態が栄養のみできれいさっぱり治ってしまう。つまり、精神病理学の介入する余地はない、ということ。
精神医学では、さまざまな病因論が語られているが、それらすべては間違いということになる。精神病理学で語られている理屈のほとんどが質的栄養失調の状態での病理。そのことをこれまでの偉大な(とされる)精神病理学者は認識していなかった。この事実をしかと認識すると、精神病理学どころか精神医学の存続が危うくなる。栄養でほとんどすべての病態が治癒するのであれば、一から病因論を組み立て直さなければならない。
これまでの精神病理学では、症状を示す患者の内面に分け入ることから論を構築してきたが、その方法論が間違いであったことが藤川分子栄養学の登場によってわかった。
何に立脚して論を組み立てないといけないのか。最も確かな論拠はどうすれば治癒するか、あるいは、治癒した症例をどのように考えるか、だ。いくら理屈を重ねても治った事実には遠く及ばない。治癒の症例から論を組み立てる新たな学問がここに始まる。
精神病理学は終焉の時を迎えた。
愛着の問題?母子関係?父子関係?肛門期への固着?分裂妄想ポジション?抑うつポジション?その他すべての論が意味をなさなくなる。これは歴史的大事件。この「事件」を受け止めることができないと、精神医学の進化は阻まれる。