通勤途中にある橋を渡るたび、私はその景色に心を奪われる。
川沿いに生い茂る木々、澄み渡る青空、川の向こうに広がるビル群。
そして、どっしりと流れる雄大な川。
そんな風景に、ふと心が安らぐことがある。
日々忙しさに追われ、会社に急ぐ足もいつの間にか慣れきってしまっているが、今日は違った。
いつもと同じ景色が、特別なものに感じられたのだ。
立ち止まってゆっくりと周りを見渡す余裕ができるというのは、心が少し軽くなった証拠かもしれない。
仕事や生活に追われる日々、私たちは多くのことを「他人ごと」として処理してしまいがちだ。
しかし、そんなふうに他人事として捉えれば捉えるほど、不満や問題が次々と目につく。
例えば、通勤中の橋だって、車の音がうるさいとか、歩道が狭いとか、そういうことばかり気にしていたら、景色の美しさには気づけなかっただろう。
自分事として物事を捉えると、そこに「自分の出番」が見えてくる。
それは責任を負うことでもあり、同時に楽しさややりがいを見つけることでもある。
誰かがやるだろう、と他人に任せてしまえば、その先に待っているのは、解決されない不満や問題だ。
しかし、これを自分のこととして受け止めれば、主体的に関わり、変えることができるのだ。
仕事や生活、そして自分の趣味。
やりたいことがたくさんあって、すべてを一度に片付けようとすると、歯痒い思いをすることがよくある。
昔、見ていたアニメ「一休さん」のエピソードを思い出す。
お米をいっぺんに叩き潰そうとする大男と、少しずつ丁寧にすり潰す一休さんの競争だ。
結局、少しずつ着実に進めた一休さんの方が、早くお餅を作ることができた。
この話は、現代の私たちに大切な教訓を与えてくれる。
あれもこれも、いっぺんに片付けようと焦ると、結局何も達成できないことがある。
しかし、一つずつ順番にコツコツと取り組めば、気づいた時には多くのことが進展している。
私たちの仕事や生活も同じだ。
自分の手で一つひとつ問題を解決し、自分の目でその成果を確認していくことが、最終的には大きな達成感につながる。
それは、「自分事」として物事に取り組む姿勢から生まれるものだ。
結局、日常の中で自分の出番を見つけるためには、どうすれば良いのだろうか?
一つの答えは、主体的に行動することだ。
周りの状況や環境に振り回されるのではなく、自分自身が何をできるかを見つめ、行動に移す。
通勤途中の橋から見える風景のように、普段の生活の中にこそ、自分の出番が潜んでいるのだ。
また、一休さんの教えを思い出し、少しずつ進むことを忘れないことも大切だ。
焦らず、自分のペースでコツコツと進んでいけば、どんなに大きな目標でも必ず達成できる。
日常に埋もれて見過ごしてしまいがちな「自分の出番」を見つけること。
それは、誰でもできる簡単なことではないかもしれない。
しかし、一歩ずつでも、何かを変えたいという気持ちを持ち続ける限り、いつか必ず、その出番は訪れる。
逆に、すべてを「他人ごと」として捉えてしまうとどうなるのか。
不満が蓄積し、問題が解決されないまま放置される。
そして、次第にその不満が大きくなり、自分の生活や仕事にまで悪影響を及ぼす。
これは、誰もが経験したことのあることだろう。
他人に任せてしまうことは一時的には楽かもしれないが、長期的には何も解決しない。
むしろ、自分の手で物事に関わることで、自分の成長にもつながるし、達成感も得られる。
「自分事」にすると、不思議と問題が解決し、満足感が得られるのだ。