江戸時代に会津城下と栃木の日光(下野の国)とを結ぶ会津西街道の中で、会津城下から3番目の宿駅として整備され、宿場町として栄えたという「大内宿」。
かつての山里の雰囲気をそのままに、今も茅葺き屋根の民家が沿道に立ち並び、昭和56年には国選定重要伝統的建造物群保存地区に指定されている人気の観光地。
現在は年間約80万人もの観光客が訪れるようになったため、ほとんどの民家は農業から観光産業へと切り替え、お土産店や蕎麦屋等を営むようになったとのこと。
大内宿の中の一軒、こちらのお店「三澤屋」は会津地方の名物「高遠そば」で知られる名店。
大根のおろし汁をつゆとして使用し、箸代わりに長ネギで掬って蕎麦を食べるというユニークな食べ方のそば、「高遠そば」。
大根のおろし汁を蕎麦に使用するという食べ方は、元々長野県伊那市高遠町より会津地方に伝わり、大根おろし汁を使った蕎麦の食べ方を高遠藩にちなんで「高遠そば」と呼ぶようになったとのこと。
こちらの三澤屋が蕎麦に長ネギを一本添えて、箸代わりに掬って食べることを提案し、現在の形で会津地方に根付いたようです。
元々発祥地である長野県では、現在会津地方の高遠そばからの逆輸入で、異なった形の高遠そばが名物になっているようです。
訪問時は平日の開店時間と同時の10時頃。
大内宿には蕎麦屋が数多くあるものの、こちらのお店は特に有名で人気のため、開店前より店前には数組開店待ちのお客さんがいるのが見えました。
茅葺き屋根の古民家、9月とはいえまだ天気の良い日は暑い日が続く中、広間の座敷席は風通しも良く、蚊取り線香の匂いが漂い、夏の余韻に情緒があふれます。
メニューにはやはり名物「高遠そば」が目立ちます。
ネギ一本入ったそば、一体どんなものなのか、、早速注文してみました。
【高遠そば】1080円(税込)
長ネギで掬って食べることは推奨されているものの、蕎麦の前に漬物が提供されるため、その際割り箸もちゃんとついてきました。笑
なんといいますか、こう目の前にしてみると、非常にシュールです。笑
本当に一本の長ネギが刺さって出てきました。
たっぷりの鰹節、そして大根おろし、つゆにも絞り汁がたっぷり使用されており、この大根おろしや絞り汁に辛さがしっかりあるのも信州そばの原型のようです。
ネギは箸代わりに使用する他、薬味も兼ねているため蕎麦と共に齧っていただくとのこと。
しかしこのネギ、辛い!笑
大根おろしの辛味自体は大丈夫なのですが、ネギをそのまま齧るのはあまりの辛さとネギの香りがキツすぎて、これは相当なネギ好きでなければこのまま食べるのは厳しいかもしれません。
しかし、提供されている以上は完食がモットー。
蕎麦の味どうこう以前にネギとの戦いが始まりました。
またネギの量が凄まじく多い。
完食は出来たものの、口の中には辛味がピリピリ残り、ネギの臭いが凄まじいことに。
後で周りを見てみると、かなりの数のお客さんが高遠そばを頼んでいましたが、誰1人として完食してなくて、これってもしかして残す方が普通なのかな、、?とも思ってきました。
むしろ完食している方がおかしいような気持ちになり、少し恥ずかしくなりました。笑
残すという行為がどうしても落ち着かないので少し複雑ではありますが、蕎麦を素直に楽しむには無理は禁物かもしれません。
何にせよ、面白い名物がいただけたのは良い思い出です。
ご馳走さまでした(^^)
三澤屋
0241-68-2927
福島県南会津郡下郷町大字大内字山本26-1